矢野燿大二軍監督就任1年目となった2018年。「超積極的野球」を掲げ、チーム盗塁数「163」と大幅に伸ばし、投手陣も躍動。その結果8年ぶりのウエスタン制覇を成し遂げ、最後はファーム日本一へと駆け上がった。 
8年ぶりのリーグ優勝と12年ぶり5度目のファーム日本一に輝いた虎ナイン
【育成方針】準備力を高める育成法
いかに選手たちの可能性を広げるかを考え、矢野燿大二軍新監督は3つのテーマを掲げた。
『超積極的野球』
『諦めない』
『誰かを喜ばせる』
矢野監督の考えは勝つことよりも“育成”が先だった。勝つことを優先させると選手たちのパフォーマンスや成長の妨げになる。だからこそ、超積極的なプレーでの“失敗”は許すという育成法を取った。
「アウトになったことを次につなげる、準備力を高める。オレら(首脳陣)がそれを許さないと選手を押さえつけてしまう」と常にこの言葉を矢野監督は口にした。
同時に攻守交代では全力疾走を求めた。三振やゲッツーを打ったときに落ち込んだまま守備に就くのではなく、気持ちを切り替え、全力疾走をすることで、スキのない選手を作り上げていくことを狙った。
本拠地で勝利試合終了後、ファンにあいさつをするときには、指名制で選手がマイクを持ちスピーチをすることも習慣づけた。「選手自身が考えて話をすることで、お客さんも喜んでくれる。この経験で一軍を目指す力にも変わる」と矢野監督。選手たちもこれらを実行し成長させ、8年ぶりの優勝へと突き進んだ。
【投手総括】目的意識のある投球
首脳陣と会話をすることで各投手の目的も明確になったシーズンだった。「彼らがやることに納得して挑戦するのと、半信半疑でやるのとでは取り組むときの気持ちは全然違います」と
福原忍二軍投手コーチはコミュニケーションの意義を語った。
チーム防御率はリーグ1位の3.00。被本塁打、失点もリーグ最少。投手陣の個々の力が、優勝へ大きく貢献したのは間違いない。先発では
青柳晃洋がリーグ最多勝タイの8勝を挙げ、
福永春吾と新人の
谷川昌希が7勝。そのほか
西勇輝の人的補償で
オリックスへ移籍となった
竹安大知など3人が6勝としっかりとした働きぶりだった。その中で終盤戦に一軍で4試合に登板した青柳は、2019年に先発ローテの一角としての期待も高まる。またケガから復帰した高卒2年目の
浜地真澄は、3試合に先発し防御率1点台をマークするなど成長を見せた。
抑えも充実しており
伊藤和雄が20セーブを挙げてセーブ王に輝いた。リリーバーとしては
守屋功輝がチーム最多の39試合に登板するなど成長。高卒3年目の
望月惇志が、一軍でリリーバーの一人に定着するなど、投手陣全体の底上げは十分に図れたシーズンとなった。
【打撃総括】一つでも先の塁へ
矢野監督が打ち出した『超積極的野球』を選手たちがパフォーマンスとして発揮できるようになったのは開幕して約1カ月が経過したころだ。「(相手投手に対し)どう対処すべきか。打席に入る前の考え方。狙い球は、精神的な面など選手の意見を聞いたり、こちらの考えを伝えたり意見交換をしたことで、お互いの気持ちが分かり合えた」と
濱中治打撃コーチはいう。
チーム打率はリーグ3位となる.248ながら、打点はリーグ2位の456。狙い球を絞る中で、それ以外は打たないことも徹底され、四球はリーグトップの457個。上位3人(
北條史也、
江越大賀、
板山祐太郎)がすべて
阪神勢だった。また安打数ではリーグ1位タイ98安打で板山が入るなど超積極的野球がいい方向に進んだ結果となった。

リーグトップタイの98安打を放ち優勝に貢献した板山
さらに注目されたのが走塁。特に盗塁は「163」のリーグ記録を更新。
藤本敦士守備走塁コーチも盗塁に関しては積極的にコミュニケーションを図った。リーグトップ3にルーキーの
島田海吏が26個の2位。江越大賀が25個で3位に入るという成績を残し、積極的な盗塁が、リーグ優勝への大きな役割を果たした。

俊足を生かしてリーグ2位の26個の盗塁を決めたルーキーの島田
【編集部選】2019年期待の一番星 浜地真澄 開幕先発ローテの可能性大

浜地真澄投手/21歳
高卒3年目のルーキー。18年一軍でブレークした
才木浩人とともに有望視されていたのが浜地真澄だ。だが、1年目の夏場に腰痛で戦列を離れ、復帰は18年の6月だった。矢野二軍監督も「ファームでは一番真っすぐがいい投手」と太鼓判を押す。そのとおりに矢野監督はウエスタンの優勝が懸かった試合と、ファーム日本選手権のどちらにも先発のマウンドを託している。秋季キャンプでも存在感を発揮し、19年の開幕一軍先発ローテ入りの可能性も高い。ただ台湾ウインター・リーグで頭部に打球を受けた。この後遺症が気になるところだ。