元号が平成から令和に変わり、各チームの戦いも40試合に近づいている。今回は令和元年を指揮する監督たちに迫ってみたい。 ※記録は5月12日現在 「オレがヤル」姿勢を植え付ける
17年ぶりの最下位により、新しい風を入れるため今季就任した。積極的野球と自主性を重んじてチーム改革を進めている。 昨季の最下位のチームの指揮を執るにあたり、選手に自主性を持たせる方針を示した。「オレがヤル」というスローガンを打ち出し「どうすればファンを喜ばせることができるか」というテーマを虎選手たちに課した。
春季キャンプでは自主練習を多く取り入れ、自分たちで思考する野球を目指すように仕向け、傍らでじっと見守るスタイルを貫いた。ときに「練習内容がゆるい」という批判もされながらも自主性を重んじ、各ポジションのライバル選手同士に同じだけの出場機会を与え、競争心をあおった。また、オープン戦で実績を残した選手を開幕スタメンで起用するというシンプルなスタイルを貫いたことで、新人の
近本光司、
木浪聖也が開幕スタメンの座を射止めた。
矢野監督が目指す野球は、昨季二軍監督としてファーム日本一に輝いたときに用いた「超積極的野球」。一軍でも同じような形をとる。毎年チーム盗塁数はリーグの中でも下位だったが、今年は
中日の23個に続く22個のリーグ2位だ。
一軍においては勝つことを求められる中で、いかに点を取るかを考慮する采配も垣間見せる。つまり、積極的に盗塁を仕掛けるだけではなく、しっかりと犠打で得点圏に送る確実な采配も見せており、その数は31でリーグトップ。いかんせん、野手は若手を起用しているため、なかなかタイムリーが出ないことが課題になっている。だが、攻撃の戦術としてはこのように明確な采配でリーグ3位(5月12日現在)にまで押し上げた。
一方、先発投手陣については、完投数はリーグトップの4を数えるように、長いイニングを我慢して投げさせる傾向がある。その中で、先発が崩れた試合では、一軍経験の浅い若手を中継ぎ登板させ、実績を積ませるなど将来を見据えている。その中で、8回のセットアッパーにジョンソン、9回には
ドリスという勝利の方程式を明確にしている。これは矢野監督の現役時代に「JFK」という強力なリリーフ陣をリードし優勝に貢献した経験を踏まえた采配でもあり、今季この形が決まってからは、中継ぎ陣の防御率も安定し、リーグ2位まで上がってきている。
「失敗してもとがめない」。「積極性を求める」スタイルで、いい結果がでれば監督自ら喜びを表現する。その形が選手たちにも伝わり、思い切ったプレーができる雰囲気が出てきた。昨季以上に選手たちが生き生きとプレーできる環境が整いつつあるようだ。
■矢野監督TYPE 【指導スタイル】
自主性と積極性 【戦術スタイル】
積極性もありつつ基本に忠実な部分も 【好きな言葉】
「やらない後悔より、やってみるべき」 【コーチとの接し方】
密にとる 【戦国武将に例えると】
加藤清正(城作りの名人=基礎・土台づくりの名人のイメージ) ■矢野流令和スタイルはこれだ! 1対2で迎えた5回裏無死一、二塁。先発・
才木浩人の代打で
北條史也がきっちりと犠打を決め、続く一番の近本光司が逆転となる2点適時中前打を放つ。その近本は二盗、三盗と
広島バッテリーに圧力をかけ、打者の
糸原健斗がタイムリーという逆転劇を見せた。投手陣も先発の才木が5回を2失点も、6回以降4人の継投で広島を0封。堅実かつ積極的走塁の野球で点をもぎ取り、中継ぎ陣で抑え込む得意の勝ちパターンで快勝した。(5月1日対広島戦、甲子園)
知ってますか?選手・矢野燿大
1997年オフに中日から
阪神へトレードされたときに、当時の中日・
星野仙一監督からねぎらいの言葉はなく「星野さんを見返す」という強い気持ちで阪神へ。
吉田義男監督にすぐに見いだされ正捕手の座に。その後、
野村克也監督の下で「野村の考え」も吸収した。2002年に星野監督が就任しても正捕手として活躍。03年のリーグ優勝時には七番打者ながら79打点を挙げる活躍でMVP投票2位になるほど優勝に貢献した。05年も71打点の19本塁打で2年ぶりのリーグ優勝をけん引。03年から4年連続2ケタ本塁打&60打点以上を記録し打てる捕手、さらに堅実な配球をする堅実な捕手として阪神の2000年代の黄金時代の中心選手であり、チームをけん引し続けた。08年には北京五輪の日本代表にもなったが、ケガも増えたことで、スタメンを外れることも多くなり10年限りで現役引退。二軍の中日戦で引退試合を行い両軍から胴上げをされるなど、人望も厚かった。
【選手歴】 桜宮高から東北福祉大を経てドラフト2位で91年に中日入団。1年目から出場を果たすも97年オフに阪神へトレード移籍。98年から正捕手として活躍し、2003、05年の優勝に大きく貢献した。ベストナイン3回、ゴールデン・グラブ賞2回獲得。10年限りで現役引退。1669試合、1347安打、112本塁打、570打点、16盗塁、打率.274。
【コーチ歴】 2016年に
金本知憲監督就任とともに阪神一軍作戦兼バッテリーコーチに就任。18年は阪神二軍監督としてファーム日本一に導いた。金本監督辞任により今季一軍監督に就任した。監督通算成績36試合、18勝16敗2分、勝率.529。