
写真は昨年のオールスター第1戦です。他球団の選手との交流は良いリフレッシュになりました(中央は中田翔さん、右は筒香嘉智さん)。
“勝負の時期”を前に束の間の“心の休息”
少し腰が張り、6月28、29日の
西武戦(メットライフ)で先発を外れましたが、これも万全な状態で試合に臨むため。中途半端な状態で試合に出てはチームに迷惑がかかってしまう。無理に出場し、交流戦も2位で終えて上昇気流に乗っているチームの流れを止めてはいけない。今は体調を万全にすることが先決です。シーズンはまだ半分残っている。勝負の後半戦に、より自分のパフォーマンスを発揮するためにも先発出場を見送りました。
チームは7月1日時点でリーグ最下位ですが、上位との差も大きく開いているわけではない。勝負は中盤戦、そして終盤戦になるので、もちろん試合に出続けたい気持ちはありますが、“勝負の時期”のためにも、今は必要以上に無理をすることはないと判断しました。ただ、先発出場をしなくてもチームで戦っていることに変わりはない。個人としてもチームとしても、より良い結果を残すために、これからも全力を尽くします。
その“勝負の時期”を前に開催されるのがオールスターです。僕自身は昨年、初めて出場させていただきましたが、この“夢舞台”は“心の休息”になるんです。今回は、そんなオールスターについてお話ししたいと思います。シーズンの緊張感とは、また違う独特の雰囲気で、まさにお祭り的な感じのオールスターですが、今年も外野手部門でファンの皆さんに選んでいただき、出場が決まりました。皆さん、ありがとうございます。
このオールスターに出ることはプロ野球選手としての一つの目標です。小さいころにあこがれていた舞台でもありましたからね。中でも僕が印象に残っているのが、2004年のオールスター第2戦(長野)。0対0の3回裏に、キャッチャーの矢野さん(
矢野輝弘・
阪神)がピッチャーの福原さん(
福原忍・阪神)に返球した際に、三塁ランナーの新庄さん(SHINJO=
新庄剛志・
日本ハム)がホームへ。ヘッドスライディングでホームスチールを成功させ、パ・リーグが先制した、あのプレーには驚いたし、「オールスターの大舞台で、こんなプレーをするのか」と興奮しました。これまでも、多くの名勝負が生まれているオールスターですが、僕が一番印象に残っているのは、新庄さんのホームスチールなんですよね。

2004年のオールスター第2戦。新庄さんのホームスチールが、一番印象に残っているんです
意外と“しんどい”ホームラン競争
ホームスチールを決めるのはオールスターならでは。もちろん、大胆なプレーを敢行する新庄さんの“すごさ”もありますが、真剣勝負とは、また違う雰囲気も後押ししたのかな、と今では思うんです。そう思えるのも昨年、僕自身がオールスターを経験できたからです。
シーズンでの試合は、常に戦況を把握していないといけない。打順が回ってくるまで、ベンチにいてもチームメートの打席で相手投手を見たり、投手の調子や相手バッテリーの攻め方を見たりするのですが、オールスターでは、そんなことは気にしなくていい。自分の打席が回ってくれば、自分のパフォーマンスをするだけ。純粋に野球を楽しむことができるんですよね。ベンチでも、他球団の選手たちと交流したり、とにかく楽しく過ごせるんです。
だから、オールスターは良いリフレッシュになる。開幕から約3カ月、毎日いろんなことを考えてプレーし、神経を使ってきた中でノビノビと野球ができる2試合。見ているファンの方たちに“楽しい”と思っていただけるように選手はプレーしていますが、僕自身も“楽しく”プレーしているんですよね。
それに昨年の第1戦は
オリックスの本拠地・京セラドームで開催されたこともあり、たくさんの声援をいただき、とにかくうれしかったですし、それが本当に良い思い出として残っているんです。さらにホームランダービーにも出場させてもらいました。打ちやすいボールを投げていただいたバッティングピッチャーの安達さん(
安達了一・オリックス)のおかげもあり、1回戦で12本塁打を放ち、2回戦でも10本もスタンドに入れることができました。その2回戦で筒香さん(筒香嘉智・
DeNA)に敗れましたが、正直、体力的にしんどかったです(笑)。球数制限なしの“2分間の打ちっぱなし”で本塁打数を競うルールですから。キャンプの
ロングティーでは同じような“打ちっぱなし”を行うものの、フリー打撃で“2分間の打ちっぱなし”の経験はありません。それも、求められるのは本塁打。飛距離が必要となるので、強いスイングを繰り返す。これで打撃を崩したり、反対に何かをつかんだということはありませんが、一番感じたことは“振る体力”の重要さ。それを感じたホームランダービーでしたね。

昨年出場させていただいた『ホームランダービー』は正直、しんどかったです(笑)
そんなオールスターに今年も出場させていただきますが、個人的には今永(
今永昇太・DeNA)と対戦できたらいいな、と思っています。同い年ですし、大学時代も日本代表の合宿などで一緒にプレーした仲で、昔から知っているピッチャーですからね。ファンの方たちも楽しみにしているはずの、そうした“対戦”も僕個人としても楽しみにしているんです。
とはいえ、まだオールスターまでにシーズンの試合も残っています。早く体調を万全にして、後半戦へ向けて1本でも多くのヒット、ホームランを重ねてチームの勝利に貢献する。“心の休息”を楽しむのは、もちろん、それからです。
PROFILE 吉田正尚/よしだ・まさたか●1993年7月15日生まれ。福井県出身。173cm83kg。右投左打。敦賀気比高、青学大を経て2016年ドラフト1位でオリックスに入団。開幕スタメンを勝ち取り、10本塁打を放った。17年は腰痛が再発し開幕直前に離脱も、7月に復帰して2年連続2ケタとなる12本塁打を記録。3年目の昨季は6月から四番に定着すると、全試合出場、打率.321、26本塁打、86打点の成績でベストナインを受賞した。今季も若き四番として、打線をけん引する。