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これが強さの秘密だ!

OB評論家・山内孝徳氏が語る強さの要因 ソフトバンク編「選手層の厚さとモチベーションで他球団と絶対的な差があった」

 

10月上旬まで競り合いが続いたが、ロッテとの直接対決第2戦からの12連勝で、ソフトバンクが一気に勝負をつけた。なかなかベスト布陣が組めなかった今季も最後は圧勝気配。その要因を山内孝徳氏に分析してもらった。
取材・構成=藤本泰祐 写真=湯浅芳昭

9月以降は6連勝するなどしてエースの働きを見せている東浜。「負けない先発陣」の一人だ


東浜が後半エースの働き 抑え安定で中継ぎに好影響


 まず前提として、今のパ・リーグでは、選手層の厚さ、そして今季の場合はモチベーションにおいても、ソフトバンクが他の5球団に圧倒的な差をつけてスタートしているということがあると思います。ソフトバンクは、一昨年、昨年と、日本一にはなりましたがパ・リーグのペナントを獲(と)っていない。「今年は何としても」ということで、おそらく「10月、残り20試合を切ってからが勝負だぞ」というぐらいの意識でやってきていたと思います。

 今季は、他の5球団の中で、ロッテがソフトバンクをよく研究して、直接対決で勝って食い下がってきた。でも、ここまでついてくるだけでもいっぱいいっぱいだったのではないでしょうか。10月に入って、ソフトバンクのほうは、「ヨシ、ここからだ。もう一丁ギアを上げようぜ」と一致団結した。逆にロッテはコロナ禍の影響もあって戦力ダウンしてしまった。この2つがかみ合わさって、ちょっと極端な形で結果が出てしまった感じになりました。

 戦力面から振り返ると、今年のソフトバンクは、どちらかというと投手陣の安定のほうが大きかったように思いますね。先発陣は、規定投球回到達者はゼロですが、柱となるべき千賀(千賀滉大)が、開幕時は戦列を離れていて、7月は勝ちはしましたが、8月半ばからは勝ったり負けたり……という状態のところを、開幕からそれぞれのタイミングで、それをカバーする存在が出てきました。

 まず序盤は石川(石川柊太)が6連勝と突っ走りましたし、ベテランの和田(和田毅)は、時に間隔を開けながらですが、年間通して負けないピッチングをしました。一番苦しかった7月ごろには二保(二保旭)が5回ぐらいまでは計算できる感じで踏ん張りました。

 そして、今季は開幕投手も務めた東浜(東浜巨)が、途中、ちょっと戦列離脱もありましたが、後半に入ってエースの働きをするようになってきました。同時にムーアが勝ち始めましたし、さらには最初はオープナーだった笠谷(笠谷俊介)が、だんだん自信をつけて5回ぐらいまで投げたりするようになりました。そうやってみんなが持ち場持ち場で力を出して、メンバーは多少変わっても、大きく崩れることはなかったですね。

 リリーフ投手は、やはりモイネロ森唯斗の、8、9回の2人が絶対的な安定感があったことが大きい。特にモイネロは、出来過ぎぐらいの出来でした。それで、先発ピッチャーがだいたい6回前後までは投げますから、6回、7回あたりのところに、どんどんイキのいい若手ピッチャーをつぎ込んでいける形ができました。今季は泉(泉圭輔)、松本(松本裕樹)など、中継ぎでの実績の少ない若手投手も投入されましたが、皆150キロ近いスピードがありますから、まだホントのコントロールはないですが、思い切って投げ込んでいけば、1イニングぐらいだったら何とかなるんですよね。そうしてリリーフもうまく回りました。

柳田の働きで「四番難」も軽減 周東らが今宮の故障もカバー


 打線は、外国人選手がなかなか機能しませんでした。グラシアルデスパイネの来日が遅れて、代わりのはずのバレンティンが調子が上がらず、四番に苦労しました。それでも、左投手相手なら絶対的な存在である川島(川島慶三)を使ったり、中村晃を入れたりしたのがハマって乗り切りました。それには、やはり何と言っても柳田(柳田悠岐)の存在が大きい。彼の破壊力は相手ピッチャーも相当警戒しますからね。柳田はフォアボールもしっかり選びますし、四番がワンヒット打てば、というチャンスを多く作りましたよね。また、ベテラン松田(松田宣浩)は、不調もありましたが、やはり存在感がありました。

外国人選手が万全の状態でそろわない中、好成績で上位打線を打ち続けた柳田の活躍が、その痛手を小さくした


 そして、このところスタメンに定着してきた周東(周東佑京)の存在ですよね。彼が塁にいるだけで、ピッチャーは打者への集中力をそがれますし、内野手にもプレッシャーが掛かる。攻撃に相乗効果が生まれてきます。今宮(今宮健太)が一軍を外れるときにはどうなるかと思いましたが、周東が出てきたことで、周東にライバル心を燃やしている牧原(牧原大成)とか、川瀬(川瀬晃)あたりもハッスルしていますから、今宮の穴もある程度はカバーできています。そして忘れてはいけないのが栗原(栗原陵矢)の成長です。打撃の非凡さを発揮し、1年間、乗り切りましたもんね。

 だから結局、ソフトバンクにはそれだけの選手層の厚みがあった、ということです。外国人選手が額面どおり働かなかったとしても、他の5球団と比べてみて、戦力が劣るか、と言ったら、そんなに落ちないでしょう。ほかのチームは、ソフトバンクにとって強敵となるような選手が出てきても、順番にメジャーに出ていく。ソフトバンクの場合は最近、それもないですから、差は開く一方です。今年優勝したら、当分ソフトバンクの天下が続くのではないでしょうか。昔のV9巨人のようなチームを目指していますからね。今年優勝しても、また来年は新しい外国人選手を獲るんじゃないですか(笑)。

 クライマックスシリーズも、勝負事に絶対はないとはいえ、落とす可能性は低いと思います。アドバンテージの1勝があるので、あと2つ勝てばいいわけでしょう? 東浜、千賀、和田、ムーアと先発がいて、まだ石川がいるわけですから。石川を中でフル回転させることもできますよね。そこで2つ勝つのは、そう難しくはないでしょう。2位のチームは、例えばロッテだったら美馬(美馬学)、石川(石川歩)、二木(二木康太)とか、先発を3人そろえて、それが全員勝つ、という計算をしないと勝ち抜けない。今から調子を整え直して、全員がそろってきたとしても、ソフトバンクを10とすれば、2位チームは8ぐらいの力関係ではないでしょうか。チームの勢いを加味して考えれば、ソフトバンクが落としたらおかしい、ぐらいの感じだと思いますよ。

 もしかしたらもう、ソフトバンクは日本シリーズまで計算してローテーションを組むんじゃなかろうかと(笑)。僕はそれぐらい、力の差があるように思いますね。
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