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廣岡達朗連載「やれ」と言える信念

廣岡達朗コラム サード・佐藤輝明のスローイング、あんな選手はいない!

 

サードを守る阪神佐藤輝明


佐々木朗希の素材はいいが……


 ロッテ佐々木朗希がプロ初登板したが、その後すぐに一軍登録を抹消。なぜ放らないのか。話題性があって高卒2年目の一番いいときに放らないというのは、体ができていない証拠なのかと思う。

 あのモーションは盗塁をタダでくれてやっているようなもの。高橋直樹(元日本ハムほか)を思い出した。アンダースローの高橋直は大きなモーションで、走られ放題だった。注意すると「走者をホームに返さなければいいんでしょ」と答えた。そういう(ことが許される)チームにいたのだ。私は納得できなかった。盗塁させないようクイックで放れ、と命じた。クイックを教えてそのとおりにやらせれば彼はできるのだ。

 佐々木朗は、素材はいい。だが、盗塁がタダでは、それは野球ではない。まだまだ課題は多い。

 最近見ていて感じるのは、優勝するために野球をしているのかということだ。自分の数字さえ良ければいいという選手が多い。二塁打が出ても次の打者がレフトフライを打ち上げたらそのまま。優勝するためにやっている選手は走者が塁に出たらまず進めることを考える。一、二塁間を狙えば仮に打ち取られても走者は三塁へ進む。そんな野球を教えなければいけない。

 ヤクルト監督時代に、走者を置いて杉浦亨を迎えたとき、佐藤孝夫打撃コーチに「2ストライクまでは一、二塁間を狙って打たせぃ」と指示した。しかし、杉浦はいい当たりのショートゴロ。その後、同じ場面でまたショートゴロ。私は直接本人に「今度ショートゴロを打ったら罰金だ」と命じた。すると3度目は一、二塁間に打った。要は選手にその気がなければいけないのだ。

 勝つ野球とは自分を犠牲にしてでも走者を進める野球のことをいう。記録だけを追い求めるから、バレンティン王貞治の記録を抜きながらチーム自体は最下位という2013年のヤクルトのようになるのだ。

 残塁が多くてチームが負けるのも内容が悪い。打者が自分のことしか考えずに打席に入っている証拠だ。

 監督はただベンチに座っていたらいけない。バント失敗など注意をするときはすべきだ。ミスをしても平然とベンチに帰ってくる選手に何も言わない監督はダメ。「これをやったら監督がうるさいぞ」という意識が選手間に浸透していけば、選手も一生懸命にやる。

大山復帰後、佐藤輝のポジションは?


 ところで、新型コロナウイルスの陽性者が出て主力選手を欠いた広島が、巨人に大勝した(5月19日)。やる気の問題。中村奨成など若い選手がチャンスをもらって目の輝きが違っていた。あれだけ主力選手を欠いてなぜ巨人に勝つのか。やる気の差が出たのだ。

 驚いたのは阪神の佐藤輝明だ。大山悠輔の欠場中サードに入った彼は、回転のいいボールを一塁へ矢のように放っていた。あんな選手はいない。昔のレギュラークラスはあれが普通。いまはなっとらん。大山の復帰後に2人のポジションをどうするか。佐藤輝を外野で使うのなら外野、サードならサード、どちらかにすべきだ。ユーティリティーは間違っている。

 大山についていえば、戻ってきて四番を打てなければやめたらいい。クリーンアップを打つクラスの選手が復帰後に打てなければ、川上哲治さんなら多摩川に行って打ちまくっていた。四番のプライド! 

PROFILE
廣岡達朗/ひろおか・たつろう●1932年2月9日生まれ。広島県出身。呉三津田高、早大を経て54年に巨人入団。大型遊撃手として新人王に輝くなど活躍。66年に引退。広島、ヤクルトのコーチを経て76年シーズン途中にヤクルト監督に就任。78年、球団初のリーグ制覇、日本一に導く。82年の西武監督就任1年目から2年連続日本一。4年間で3度優勝という偉業を残し85年限りで退団。92年野球殿堂入り。
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