兵庫・小野高、慶大で活躍し、東京六大学リーグ戦では早大・和田毅[ソフトバンク]と真剣勝負を演じた元フジテレビアナウンサーで現スポーツアンカーの田中大貴は、1980年生まれの「松坂世代」の1人。そんな野球人・田中が、同年代の選手たちをプロ野球現場の最前線で取材した至極のエピソードを、コラムにして綴る連載第38回です。 
1996年夏の甲子園決勝の松山商高戦の9回二死から値千金の同点弾を放った1年時の澤村幸明。ベンチはもちろん、客席も総立ちに
夏決勝でのホームラン
松坂世代が活躍した98年夏の甲子園から間もなく23年の時がたちます。あの年、高校3年生で18歳だった選手たちは、今、40代を迎えています。プロ野球界で現役としてプレーする選手は
埼玉西武ライオンズの
松坂大輔と、福岡ソフトバンクホークスの和田毅のみになりました。春のセンバツで頂点に立った横浜高の大エースとして98年夏の甲子園をも制した選手と、公立・浜田高の大黒柱として8強まで進んだ2人が生き残った形です。
この松坂世代において、そんな彼らよりも早く全国にその名を知らしめたのが96年夏の準優勝校・熊本工高の澤村幸明でした。
高校野球ファンであれば、松山商高と熊本工高の、決勝で繰り広げられた死闘を知る方は多いはずです。ゲームは9回、1点差で熊本工高が追う展開。二死走者なし。松山商高の全国制覇まであとアウト1つです。この場面で打席に立ったのが、1年生にして名門・熊本工高でレギュラーを張る澤村でした。熊本工高では
緒方耕一氏(元
巨人。現
ヤクルトコーチ)以来12年ぶりの1年生レギュラーとして注目されていました。
「あの場面、僕は1年生だったので代打が出されると思っていました。けれど・・・
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