昨季、まばゆいばかりの強烈な輝きを放ったのが高卒2年目、2001年世代だ。ロッテ・佐々木朗希、ヤクルト・奥川恭伸、オリックス・宮城大弥らが、その才能を早くも開花。球史に名を刻むような世代となる可能性を大いに秘めている。 
ロッテ・佐々木朗希
加速度的に成長した令和の怪物&燕の好右腕
好素材であることは間違いない。だが、これほどまでの活躍は想像できなかった野球ファンは多いだろう。チームの主力として活躍した高卒2年目の選手たちだ。プロ野球はスターたちが結集する世代が存在してきた。
古田敦也、
山本昌、
渡辺久信、
池山隆寛ら個性的な選手がそろう「1965年世代」、
イチロー、
中村紀洋、
小笠原道大、
松中信彦、
石井一久、
三浦大輔ら歴代史上最強世代の呼び声が高い「1973年世代」、昨季限りで現役引退した
松坂大輔、
村田修一、
藤川球児、
和田毅、
杉内俊哉ら松坂世代と形容された「1980年世代」。
田中将大、
坂本勇人、
前田健太、
柳田悠岐、
大野雄大ら現役選手では最強と呼ばれる「1988年世代」も強烈だ。その中で、昨年多くの選手が素質を開花させ、球界の中心軸になりそうなのが「2001年世代」だ。
底知れない才能のベールを脱いだのが、ロッテの佐々木朗希だ。19年の大船渡高3年時に高校生で日本歴代最速となる163キロを計測した衝撃から2年。プロ1年目の20年は体力づくりに専念したため一、二軍の実戦登板はなかったが、2年目の昨季に5月16日の
西武戦(ZOZOマリン)で一軍デビューを飾る。直球は常時150キロを超えたが、変化球の精度に課題が残り5回4失点で降板。
「自分の思うようなピッチングがまだできていないので。うまく表現できないんですが、打たれるべくして打たれているな、というボールなんです。やっぱり真っすぐを3球続ければ、一軍のバッターには打たれる。変化球との組み合わせ、使い方もそうですし、そうするためにも僕自身、真っすぐ、変化球の精度、コントロールを磨いていかないといけない。あらためてマウンドで感じながら、学びましたし、これからもいろいろ学んでいきたいと思っています」と6月に週刊ベースボールのインタビューで課題を口にしていたが、登板を重ねるとフォーク、スライダーの精度が上がり、制球力も改善していく。
連打を浴びるケースが少なくなり、優勝争いが佳境を迎えると、先発ローテーションの中心に。10月の月間成績は3試合登板で1勝0敗、防御率0.47。19回で27奪三振と圧巻の投球を続ける。クライマックスシリーズ(CS)ファーストステージ初戦・
楽天戦(ZOZOマリン)の先発に起用されると、プロ入り後の実戦で最速となる159キロをマークし、6回10奪三振1失点の快投でファイナルステージ進出に導いた。昨季11試合登板で3勝2敗、防御率2.27。コンディションが万全であれば、今季は2ケタ勝利も通過点だろう。
星稜高のエースで3年夏の甲子園準優勝に大きく貢献し、ドラフト時に「佐々木より完成度は上」と評されたヤクルト・奥川恭伸も飛躍の年になった。佐々木朗の力でねじ伏せる投球と対照的に、奥川の最大の武器は抜群の制球力だ。昨季105イニングを投げて四死球は12個。規定投球回数に達していないが、1試合の与四死球率は1.03と100イニング以上投げたセ・リーグの投手の中で断トツの数値だ。
スライダー、フォーク、カットボールを正確無比に操り、直球の球威も増したことで痛打を浴びなくなった。特に熾烈(しれつ)な優勝争いが繰り広げられた9月は驚異的な安定感だった。月間成績は3試合登板で3勝0敗、防御率0.45。奥川は好調の要因について、「うーん……。なんですかね。自信ではないです(笑)。ちょっと落ち着きが出てきたかなとは思います。ゲーム中でも、頭を使いながら投げられるようになってきたと思うので。あとは、試合に向けての準備の仕方だったり、そういう試合以外の部分も、少しずつうまくできるようになってきていると思います。良い意味で『慣れ』ですかね」と分析している。
18試合登板で9勝4敗、防御率3.26の好成績で、
巨人とのCSファイナルステージ初戦(神宮)に先発に抜擢され、98球でプロ初完投初完封をマーク。CSで20歳6カ月の完封勝利は史上最年少の快挙だった。チームが20年ぶり6度目の日本一を勝ち取ったことは、今後の野球人生の大きな財産になる。佐々木朗にも言えることだが・・・
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