底知れない力を持つ男だ。完全無欠のエースとしてオリックスを最下位から頂点へと引き上げた圧巻の投球にファンは酔いしれた。2021年パ・リーグの顔は23歳右腕で異論はない。 文=鶴田成秀 写真=桜井ひとし 
昨季は沢村賞にも輝いたが、その投球はまだ成長の余地がある
原動力はチームの勝利だからこそ、悔しさがにじみ出た。「今はそれができていない」と言ったのは、昨年5月のこと。「毎週、登板がある中で、今は毎週、良い登板ができていない。そこが悔しいんです」。
この時点で9試合に登板し1完封、防御率は2.37と安定した成績をマーク。ただ、勝敗を見れば3勝5敗。それが何より悔しかった。
「目指すのは毎週、勝つこと。究極の理想は毎週、完全試合をすること。すでに5回負けているので、負けを増やさず勝利数で一番になりたい」
有言実行してみせる。その後、1度も負けることなく、球団新記録となる15連勝を飾り、18勝5敗の圧倒的な成績をマーク。沢村賞も手にしたが、特に圧巻だったのは、シーズン終盤の快投の連続だ。
10月25日、レギュラーシーズン最終戦。優勝へ向けて負けられない敵地・
楽天生命パークでの楽天戦で、三塁すら踏ませぬ昨季4度目の完封で優勝を手繰り寄せれば、
ロッテとのCSファイナルステージ初戦(京セラドーム)でも4安打完封で
ヤクルトとの日本シリーズへ。右腕の“無双”が続いた。
だが、歯車が微妙に狂う──。
「体調が良くなかったんです」
初の大舞台へ調整が思うように進まず・・・
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