2021年はルーキーが大豊作のシーズンであった。両リーグでフレッシュな力が旋風を巻き起こし、見る者を魅了した。ここからは各球団の「衝撃のルーキー」をピックアップする。まずは、堂々としたマウンドさばきで、2ケタ勝利をマーク、東京五輪でも侍ジャパンの金メダル獲得に貢献した道産子右腕のインタビューからお届けしよう。 取材・構成=滝川和臣 写真=小山真司、湯浅芳昭、高原由佳、BBM、JMPA 
日本ハムではエース・上沢直之の12勝に次ぐ10勝をマーク。堂々とローテの中心となった
序盤でつかんだ手応え
──シーズン開幕、東京五輪、2ケタ勝利。怒とうのシーズンでした。
伊藤 とても充実したシーズンで、プロ1年目でよいスタートを切ることができました。シーズンが終わってすぐは気持ちが張った状態だったので、そうでもなかったのですが、時間が経つと少し疲労も感じています。秋季トレーニングでは練習のボリュームを落としながら、来季のことも考えながら過ごしていました。
──23試合に投げ10勝9敗、防御率2.90という数字はいかがですか。
伊藤 もう少し勝ちたかったな、というのが正直な気持ちですね。でも最後に2ケタ勝利に乗せられたのは、一つ自信にもなりました。
──勝ち星もそうですが、先発ローテを守ったことに価値があります。
伊藤 規定投球回数をクリアできたことは、1年目としてはよかったと思います。1度も登録を抹消されることなく、シーズンを過ごすことができました。栗山(
栗山英樹)監督、投手コーチの方々にはすごく気を遣っていただき、シーズン序盤は中7日、8日という間隔で投げさせていただきました。本当に周囲の力があってこその、1年目の数字だと思います。僕の野球キャリアの中では、シーズンを通してこれだけ投げたのは初めての経験。大学時代は春と秋のリーグ戦がメーンでしたからね。でも、逆に大学時代は試合が少なく感じて「もっと投げたい」と思っていたので、プロでの登板は僕に合っているのかなと。今週はよかった、ダメだった。じゃあ、来週はどうしようか──。こんなふうに1週間で切り替えて投げられることを楽しむことができたんです。先発ローテで投げることに苦しさ、しんどさを感じることは少なかったですね。
──5試合目の
ソフトバンク戦(4月28日、PayPayドーム)で初勝利。
伊藤 (白星まで)長くも感じましたし、自分自身でどうにかできないことでもあったので、気持ちを切り替えて試合に臨むようにしていました。学生のころは当たり前のように8回、9回まで投げていたのが、プロで試合をつくりながら7回、8回、9回を投げ切るのがどれだけ難しいか、序盤で感じさせられました。
──初登板の初回から23イニング連続奪三振(1980年
木田勇=日本ハムの新人記録タイ)をマークするなど対戦する打者は苦労しているようでした。
伊藤 開幕後は自信のあったスライダーを多く使ったのが三振という数字に、よく表れていたと思います。
──スライダーが通用したことで、プロでもやっていけると手応えをつかんだようでした。
伊藤 スライダーが使えたのは大きく・・・
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