20本塁打超え、30盗塁、2ケタ勝利――。阪神のドラフト1位・佐藤輝明、2位・伊藤将司、6位・中野拓夢のルーキートリオは昨季、チームの起爆剤となる働きを見せた。彼らはなぜ、1年目から力を発揮することができたのか。その理由を探る。 
(左から)佐藤輝明[内野手]、中野拓夢[内野手]、伊藤将司[投手]
3人の共通点は切り替えのうまさ
昨年のリーグ前半戦、阪神は首位を独走した。最終的には
ヤクルトにゲーム差なしの2位で16年ぶりの優勝とはならなかったが、快進撃の中心で3人のルーキーが光った。佐藤輝明、中野拓夢、伊藤将司。共通点は「切り替えのうまさ」。「強心臓」とも言えるだろうか。
佐藤輝のホームランパフォーマンスとして定着した「Z」ポーズ。カメラ目線で人さし指を向ける姿は、まるで何年も前から繰り返してきたかのように板に付いていた。126試合に出場し、新人歴代7位の24本塁打をマーク。一方でプロ野球歴代ワースト6位タイの173三振を喫した。期待が大きいからこそ、バットが空を切った瞬間に球場にもれる大きなため息。初めての経験に戸惑い、長所が鳴りを潜めてもおかしくはない。それでも、怪物ルーキーが自分の武器を見失うことはなかった。
6月9日の
日本ハムとの交流戦(札幌ドーム)。この日の前日、佐藤輝はプロ初の五番に座り、プロ初の4三振という屈辱を味わっていた。迎えた5回一死一、三塁の第3打席、
谷川昌希の内角低めスライダーを強震した。打球は自ら足元でバウンドすると、大きくはずみ、そのまま一塁手・
高濱祐仁の頭上を越えていった。右翼線へ抜けた間に2人が生還。
「いつもどおりしっかり自分のスイングをしようと思っていました。いいところにはずんでくれて、ツイていました」。フルスイングを貫かなければ、生まれていなかった“ラッキーヒット”だ。
17度目のマルチ安打をマークした一方でこの日も2三振を喫したが、佐藤輝は力強く話している。「今日も2つしましたけど、しっかり振るということは常に心掛けています」。どんなに空振りしても、信条は揺るがない。近くで見ていた
矢野燿大監督も・・・
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