1点をもぎ取るロッテ打線を象徴する存在だ。打率こそ2割台ながら広角に打ち分け安打を量産。ときにセーフティーバントを試みるなど、状況に応じた打撃を見せ、出塁すれば果敢にスタートを切る。プロ3年目に飛躍のときを迎えた男が勝負の夏場へバットと足で打線を活性化させていく。 取材・構成=鶴田成秀 写真=榎本郁也 
巧みなバットコントロールで安打を量産。打率こそ2割台だが、目を向ける数字は、そこではない
変えたタイミング
巧みなバットコントロールで安打を量産している。昨季までの2年間、ファームで打率3割超と示してきたポテンシャルの高さを今季は一軍舞台で発揮。そこには昨オフから取り組んできた独自のタイミングの取り方がある。 ──一軍で全試合出場を続ける今季は、充実した日々なのではないでしょうか。
高部 全試合に出続けられていることは自分の中で大きな収穫です。ただ、その中で良い部分も出ているし、反対に課題もある。試合に出るだけではなく、その中でいろいろあるので、確かに充実感はありますが「どうしたら、もっと良くなるか」を考えながらやっているんです。
──向上心を持って、ということですね。
高部 はい。守備・走塁・打撃と、それぞれ課題はあるんですけど、やっぱり打席というのは、いろんな数字が出てくるので課題も見えてくるな、と。ただ、打率にこだわり過ぎてはダメだと思っているんです。打率は上がったり下がったり変動するもの。だからこそ、目を向けているのがヒットの数なんです。ヒットは1本1本の積み重ね。そうした中で打率が上がってくると思っているので。
──7月10日現在、リーグ2位タイの82安打。昨季まではファームで高打率も一軍で結果を出せず、昨秋の練習から試行錯誤を繰り返した成果が出ているのでは。
高部 まずは体づくりから重点的にやりましたから。2年目が終わってから、2月1日のキャンプインまで、もう一回、体をつくろう、と。いろんな体の部分の筋肉をつけることで、動かなかったところを使えるようにしたくて。そうすると、動いていた体の部分がより生きて、連動してくる。そういう感覚を求めていたんですよね。その上で技術がある。打撃の面では細かいところも意識して、いろいろ取り組んできました。
──昨秋の練習時には「タイミングの取り方を変えたい」と言っていました。
高部 なんか今までは相手ピッチャーに合わせてタイミングを取っている感じだったんです。でも、そうではなくて、自分始動でタイミングを取ろう、と。自分の動きを自分のタイミングで始動することで、まずは有利になるなと思ったんです。相手ではなくて、自分の体に合わすこと。そう考えた結果、早めの始動になったんですけどね。
──どの投手にも対しても同じように?
高部 はい。でも、自分の形にこだわっているわけではないんですよ。そこにこだわると、逆に動きの幅が狭まるというか、動きにくくなる。自分始動で動いてからは、形にはこだわらないんです。
──過去2年に比べ、ボールをとらえるポイントが近く、より引き付けて打っている印象を受けますが“形にこだわらない意識”と関係はあるのでしょうか。
高部 多少はあると思います。それに、
高部瑛斗ポイントは意識的に近くしようと思ったのもありますし。でも・・・
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