「夢の球宴」だからこそ真剣勝負を

　話は少し古くなるが今年のオールスターゲームについて書こう。

　私の西武監督時代はセ・リーグのほうが人気があったため、パ・リーグ広報部長のパンチョ伊東(伊東一雄)あたりが「こういうときに勝たないとアピールできない」と号令をかけてパの選手たちは一生懸命にやっていた。

　それが、いまはどうだろう。清宮幸太郎(日本ハム)が第１戦でサヨナラホームランを打った後、山川穂高(西武)がピコピコトンカチで頭を叩いていた。この試合、山川は0対2とリードされた2回に追撃のソロホームランを打って喜んでいた。われわれの時代は自分が打って当たり前。他人が打てば「あの野郎、打ちやがって」と悔しがるのがプロである。MVPを持っていかれた山川の悔しさの表現法がピコピコトンカチだったのかもしれないが、やることが幼稚だ。

　もうひとつ、われわれの時代はお互いに技術を盗み合っていた。私は巨人での現役時代にオールスターに6回出場しているが、当時はパ・リーグから一流の選手が出てくれば、あの選手はどういう考えで野球に取り組んでいるのかと鵜の目鷹の目。これから頭角を現してくるのは誰かという視点で見ていた。

　いまは真剣味がない。オールスターは・・・