週刊ベースボールONLINE

球団レポート

中日・球団ワースト26度の完封負け 長打力と勝負強さに欠ける打線

 

立浪和義新監督の1年目、シーズン序盤こそ健闘していたものの、課題だった得点力不足が顕著になり、借金生活へと突入した。期待がかけられていた主力選手たちが軒並み不振に戦線離脱となり、特にクリーンアップの迫力不足は目を覆いたくなるほどだ。
※記録は9月18日現在。成績部分の()内数字はリーグ順位

【セ・リーグ6位】
59勝71敗2分 勝率.454
378得点(6)、460失点(2)、打率.246(4)、60本塁打(6)
57盗塁(4)、59失策(2)、防御率3.31(2)

なかなか機能しない打線に頭を悩ませた立浪監督[中央]


主砲ビシエドの不振


「打つほうは必ず何とかします」

 立浪和義監督が就任会見で力強く宣言してから1年。何かが変わる――。大きな期待を背負って船出した新チームは屈辱の最下位に低迷している。

 原因は明白だ。132試合で378得点。平均得点が3点を下回る12球団で唯一のチームとなっている。ゼロ封負けは26試合。球団史をひも解いても1948、56年の24試合のワースト記録を更新中という惨状が続いている。

 立浪監督は「ピッチャーはよそと比べてみてもそろっている。点が取れれば勝てる状況で、先に点をやったら負けてしまう」と語る。3点取られれば負けという打線では、いくら投手陣が踏ん張っても白星にたどり着くことはできない。

 勝負の8月は25試合でゼロ封負けが月別最多の6試合となった。中でも四番に座るビシエドのブレーキぶりは顕著だった。25試合にすべて四番で出場するも、打率.241、0本塁打、4打点。長打は二塁打が1本のみ。打線の中心とも言うべき四番としては、あまりにも寂しい数字が並んだ。

 立浪監督が「ビシエドが打てないと勝てないではダメなんだけど。ビシエドにちょっと数字が出てくるとマークがきつくなる。ほかの打者にも分散すればいいけれど、うちはなかなかそういうわけにはいかないのが現状ですね」と頭を悩ませる。

明らかな不振でもビシエドを四番から外せないところに打線の弱さがある


 交流戦明けの7月29日の広島戦で1試合3本塁打をマークし、状態が上がったと見えてからの急降下。指揮官は「良くなってくると内角への攻めが厳しくなる。そうなると前に突っ込みながら打つから結果は出づらくなる」と険しい表情を浮かべていた。

 ビシエド頼みからの脱却はここ数年の課題にもかかわらず、改善策が見いだせぬままシーズンは最終盤を迎えている。ビシエド自身も18年の26本をピークに本塁打数は年々減っている。ここからの上積みは考えづらい。それに加えて先発打順別打率を見ると、ドラゴンズは132試合時点で三番が.231、五番が.249。ほかの打者がビシエドへのプレッシャーを分散させる役割も果たせていない(下表参照)。


 三、四、五番の打点のトータルは148点。これはリーグワースト。ビシエドを含めてクリーンアップの破壊力の差は得点力に直結している。「メンバー的にクリーンアップが足りない」(立浪監督)という現実はオーダーにも表れた。

不在だった三番打者


序盤は阿部のバットがチームを救っていたが……


 特に三番には今季19人が入っている(下表参照)。トップは阿部寿樹の45試合だが、ルーキーの福元悠真郡司裕也加藤翔平溝脇隼人らが起用される試合もあり、ベンチの苦しさがにじみ出るスタメンが多かった。


 貧打は長年の課題だが、戦力補強もなかった。「若手育成の年」と位置付け、3年目の石川昂弥、1年目の鵜飼航丞ら長距離砲候補に機会を与えて成長を促しつつ、昨季までのレギュラー陣に対しては打撃指導を通じて底上げを図り、打線に厚みを持たせる青写真だったが、思いどおりにはいかなかった。

 今季は開幕直前に高橋周平が左足首の捻挫で出遅れた。さらに3年目の石川昂、1年目の鵜飼という次世代を担ってほしい若手を開幕一軍メンバーに入れて積極的に起用してきた。4月にプロ初アーチを放つなど、序盤戦で存在感を見せた石川昂は交流戦で左ヒザを痛めると、7月に左ヒザ前十字靱帯(じんたい)再建手術に踏み切り今季絶望――。鵜飼も一軍の壁に当たると6月末にファーム行きに。その直後の二軍戦で左足に自打球を当て離脱。「左下腿三頭筋内側打撲」と診断され、血腫の除去術を受けることになった。

 レギュラー陣の打撃改造も結果には結びつかなかった。立浪監督は就任直後、早々にビシエド、高橋周、京田陽太木下拓哉のレギュラーをほぼ確約。立場を与える代わりに、秋季キャンプから早速、打撃指導に取り掛かった。しかし軒並み成績は前年より落ちた。ビシエドの投手方向へ迎えにいくクセは修正されることなく、勝負どころでの一撃が出ない。さらに高橋周の打撃フォームは定まらず、打撃不振が続いた京田は「戦う顔をしていない」と5月の試合中に二軍行きを言い渡された。打撃を「教える」ということの難しさが露呈した形となった。

 シーズン途中には新任の中村紀洋打撃コーチが二軍に配置転換されるなど、チーム内の意思疎通がスムーズにいったとは言い難かった。巻き返しのためには長打の打てる新外国人野手の獲得は必須。さらに石川昂、鵜飼ら長距離砲候補がどこまで成長できるか。今年ブレークした岡林勇希大島洋平の一、二番コンビは他球団にひけをとらないだけに、クリーンアップのてこ入れが来季の順位を左右する。
HOT TOPICS

HOT TOPICS

球界の気になる動きを週刊ベースボール編集部がピックアップ。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング