今年も選考委員を悩ませることはなかった。15勝5敗、防御率1.68、205奪三振、6月にはノーヒットノーランも達成と圧巻かつ安定した成績をマーク。10月24日に都内で開かれた沢村賞の選考委員会で、オリックス・山本由伸が2年連続で選出された。 
昨季の成績と変わらず高水準の安定した成績をマーク。色紙を手に2年連続の受賞を喜ぶオリックス・山本[写真=球団提供]
対抗馬なしの“一択”
文句なしの選出だ。選考委員長を務める
堀内恒夫氏が「対抗馬がいない」と言えば、
山田久志氏も「突出した成績、存在感、チームへの貢献度。対抗する投手が見つからなかった」と言い、
平松政次氏は「成績にかなり差があり、山本(由伸)君にすんなりと決まった」と満場一致。2年連続の選出は、2017、18年の
巨人・
菅野智之以来4年ぶり、史上6人目となった。
「2年連続で選んでいただいて、素直にうれしく思います」とコメントした山本は、最多勝、最優秀防御率、最高勝率、最多奪三振とタイトルも総なめ。史上初となる2年連続の投手4冠も手にし、選考基準7項目のうち5項目をクリア。昨季とほぼ変わらぬ数字の安定感は「1日1日を大切にして、真剣に練習、調整をして、毎試合必死に投げた結果だと思います」と自己分析。さらに6月18日の
西武戦(ベルーナ)でノーヒットノーランを達成と内容も圧巻だった。

マウンドでの存在感も光り、6月にはノーヒットノーランも達成[写真左]、打者を圧倒した
ただし、わずかながら昨季から数字を落としている(下表参照)。人一倍の向上心を持つ右腕は「より高みを目指して、もっといいピッチャーになるために、もっともっと野球と向き合いたい」と慢心はない。
発表2日前の10月22日、
ヤクルトとの日本シリーズ第1戦(神宮)では、左脇腹に違和感を覚えて5回途中で緊急降板。4失点を喫する悔しい今年ラスト登板となっただけに、さらなる進化を期して来季に挑むのは間違いない。まだ24歳。3年連続受賞の期待もふくらむばかり。チームは日本一を勝ち取るも「力になれなかった」と悔しさもにじむ沢村賞右腕は、どこまで成長していくのか。選考委員会では
ロッテ・
佐々木朗希の飛躍を期待する声が挙がったが、ライバルの出現もまた、山本をより成長させそうだ。
■山本由伸の今季と昨季の成績と沢村賞の選考基準 
※赤字は基準クリア
■選考委員 堀内恒夫(委員長)、平松政次、山田久志、
北別府学(療養中のため書面で参加)