入団3年目の今季は、NPB12球団で最多の71試合に登板しながら、防御率は驚異の1.72を記録。チームの2位躍進に貢献した。そんな若き右腕についた異名は、“大魔神”ならぬ“大明神”。守護神へと向かって、歩みを進める。 取材・構成=武石来人 写真=BBM 思考が生んだ進化
今季は、チームで歴代最多のシーズン39ホールドを挙げ、チームMVPと言っても良いほどの活躍を見せた伊勢大夢。最速154キロの直球で押し、スライダー、スプリットを駆使してセ・リーグの強打者たちを抑え込んだ。圧倒的な投球を生み出したのは思考の変化があったからだという。横浜の7回を守り抜いたリリーフエースが、今後の展望とともに話してくれた。 ――今季は71試合に登板し、まさに大車輪の活躍でしたね。
伊勢 入団3年目を迎えて、今までいろいろ経験させていただいてきた分、しっかりと貢献しないといけないと臨んだシーズンでした。僕としては、十分できたのではないかと思います。
――登板前は、ブルペンでどのように出番を待っていたのでしょう。
伊勢 試合展開にもよりますが、序盤は観客の皆さんと同じですね。基本、野球の話をしたり、起きたプレーの話をしたりしています。「あ~」とか「よしっ」とかみんなで一喜一憂していましたね。
――比較的リラックスして出番を待っているのですね。
伊勢 でも誰かが登板に向けて肩をつくり始めたら、一気に全員が雰囲気を作り出していくんです。マウンドに向かう選手をみんなで鼓舞して送り出しています。自分のことを考えながらも周りに気を使えていると感じます。
――確かに、DeNA投手陣は周りの選手への気遣いをよく口にしています。その雰囲気はどこから来ているのでしょう。
伊勢 やっぱりピッチングコーチの方々の影響が大きいですね。齋藤(
齋藤隆・チーフ投手)コーチにはいつも「ブルペン陣の選手には本当に感謝している」と毎試合のように言ってもらえましたし、木塚(
木塚敦志)コーチには「誰かが打たれてもみんなでカバーすればいいんだ」と口酸っぱく言われました。そういう普段からの姿勢を見ているから、自然とブルペンが一丸になっているのだと思います。

ブルペン陣から鼓舞を受けて71試合、マウンドへ向かった
――その雰囲気も支えになったのですね。登板数を増やせた要因は、何が挙げられますか。
伊勢 変化球でストライクが取れるようになったことと、それに伴いフォアボールが減ったことが大きな要因だと思います。以前と違い、しっかりと打者に対して勝負をかけられるようになりました。今までは、自分がストライクを取ることに精いっぱいで、このバッターに対して「こう攻めていこう」という意識がしっかりとできていなかったんです。
――打者へのアプローチが変化したのですね。その攻めの意識はどのように生み出したのでしょうか。
伊勢 投げるボールに関して、考え方を変えたんです。例えば真ん中に投げるボールでも、そもそも「真ん中ってどこなの」と細かく考えてみるようにしました。もちろんベース板の中央を通るボールが真ん中なんでしょうけど・・・
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