新しい年が始まり、また新たな戦いが始まる。ここでは今季の動向が注目される選手をクローズアップ。高校時代は大阪桐蔭高で甲子園を沸かせた大スターだ。昨季プロ4年目にして野手から投手に転向した根尾昂。彼の2023年は、どのような1年になるだろうか。目標は開幕からの先発ローテーション入り。大きな決断が正しかったことを証明するために、今季はこれまで以上に重要なシーズンとなる。背番号7がプロ野球人生をかけてマウンドに立つ。 写真=BBM 
「野手のボール」から「投手のボール」へ。スピードやコントロール以上に大事なのは、打者を打ち取ることだ
躊躇なき投手転向
思い描いていた22歳の自分の姿ではないだろう。140キロを超える直球を投げ込み“スーパー中学生”として注目され、大阪桐蔭高では投手と遊撃手を掛け持ちして甲子園春夏連覇、ドラフトでは4球団競合の末、地元ドラゴンズが交渉権を獲得した。仮契約の際に「遊撃一本で勝負する」と公言。成績優秀で受け答えはハキハキ。否が応でも期待値は上がる。入団が決まるとファンクラブの会員も急増した。当然、すべての期待を引き受けるつもりだった。そんな根尾にとって、昨シーズン途中の投手転向はどんな意味を持ったのだろう。
「ピッチャーになってからは早くグラウンドに出たいって思っています。うまくいかないときは考えちゃうんです。練習をしっかりやったあとでも、寮にいて時間だけたくさんあるときとか。そんな時間に『悩んでいても楽しくない』と気づかされました。明るく、前向きにやったほうが、同じことをやるのにもパフォーマンスは違うと思います。そういう意味では吹っ切れたというか、はい、そんな感じです」
野手としての苦悩は数字が物語る。4シーズンで234打数40安打、打率.171、1本塁打、20打点。2月の春季キャンプでは毎朝6時過ぎに球場入り。朝から晩まで全身全霊で打撃と向き合ってきた。「2021年は(左翼で開幕スタメンという)チャンスをもらったわけです。でも、それをモノにできなくて……」。思い描いている自分と現実との間で葛藤はあった。
そんな中、投手・根尾プランは着々と進行していった。2月のキャンプ終盤、
岡林勇希、
石川昂弥とともにブルペン入りした日があった。立浪監督は「送球力向上の一環」と説明していたが、根尾以外の2人は実はカムフラージュ。あらためて投手としての適性を見るためだった。もちろん「可」。その後、水面下で準備が進められた・・・
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