もつれにもつれた。2023年のセ・パ交流戦は、順調であれば全日程を消化していたはずの6月18日の試合が終わっても、3チームに優勝の可能性が残されるという大混戦になった。
序盤から抜け出すチームがなかった。いずれも勝ったり負けたりを繰り返し、もっとも「圧縮」されたのは、多くのチームが11試合を消化していた6月10日だ。6勝5敗で首位にソフトバンク、DeNA、
日本ハム、
オリックス、
巨人、
広島の6チームが並び、4勝6敗1分けで最下位の
阪神と
ロッテまでゲーム差はわずかに1.5という状況に。中盤戦を過ぎてからのヨーイドンで、最初に走ったのは巨人だった。
同日のソフトバンク戦(PayPayドーム)から一気の6連勝。15日の
西武戦(東京ドーム)を延長サヨナラで制すと、翌日の
楽天戦(東京ドーム)では9回に
坂本勇人が劇的なサヨナラ3ラン。連夜のサヨナラ劇で追いすがっていたDeNAに1.5ゲーム差をつけ、9年ぶりの交流戦優勝に大きく近づいたと思われた。
だが、勢いが持続しない。楽天とのラスト2戦では活発だった打線が沈黙していずれも1対2で惜敗。逆にDeNAは横浜でのロッテ戦に連勝。18日は
佐々木朗希を攻略して快勝を収め、1試合を残して11勝6敗で単独首位に立った。
その間、一気に差を詰めてきていたのがパの首位を争うソフトバンクとオリックスだった。セ主催となったラスト6試合で、ともに阪神に2勝1敗、
ヤクルトに3連勝で貯金を4つ重ね、いずれも11勝7敗で巨人に並んで全日程を終えた。
ただし、交流戦のレギュレーションでは3チーム以上が勝率、勝利数で並んだ場合は「得点率と失点率の差(TQB)」で順位が決まる。この時点で巨人、ソフトバンク、オリックスの中で得失点率差が一番大きいソフトバンクに優勝の可能性が残され、巨人とオリックスの優勝は消滅。さらに9勝7敗ながら2試合を残していた楽天にも、大勝での2連勝で11勝7敗とすれば得失点差では厳しい状況ながらも、TQBの争いに持ち込む可能性が残っていた。
いずれにしても、唯一、引き分け以上により自力で優勝を決めることができるDeNAのラストゲームに交流戦の決着の行方は託されたが、迎えた6月19日の日本ハム戦(横浜)は延長10回、3対4でDeNAが敗戦。やはり11勝7敗となったが、それでもTQBで何とかソフトバンクを上回った。締切時点で楽天の残り2試合待ちではあるが、TQBを考えればDeNAが交流戦初優勝に大きく接近していることは事実だ。最後の最後まで「史上空前の大混戦」と呼ぶにふさわしい2023年の交流戦であることは間違いない。

楽天
■交流戦優勝決定方式 ・勝率で3球団以上が並んだ場合
1.勝利数
2.交流戦のTQB「(得点/攻撃イニング)-(失点/守備イニング)」が大きいチーム
3.交流戦のER-TQB「(相手自責点による得点/攻撃イニング)-(自責点/守備イニング)」が大きいチーム
4.交流戦のチーム打率
5.2022年度セ・パ交流戦の上位チーム
■セ・パ交流戦2023順位表 
※成績・情報は6月19日現在
写真=BBM