自信を持ってマウンドに上がっている。緩急を使いながら、首位争いをするチームの中で先発ローテを守り、自身最多の8勝目も挙げた。今年は本当にいい夏を過ごしている。 文=樋口浩一 写真=Getty Images 成績は現地時間7月30日現在 
緩急と高低差を使いながら、強豪ドジャースの打線を6回1失点に抑え8勝目を挙げた
【投球成績】2023年_21試合8勝3敗、109.1回116振、防御率3.79 安定感のある投球を披露した。現地時間7月26日、
菊池雄星がメジャーで自己最多となる8勝目を挙げた。敵地のドジャース戦。序盤はピンチが続いたが、6回を1失点にとどめた。
1回。
ベッツ、
フリーマンの連打で無死一、二塁とされる。そこから
マルティネス、テーラーを連続三振、
マンシーを二ゴロに打ち取って切り抜ける。2回には二死満塁となるも、フリーマンを3球三振に仕留める。5回には死球と四球で無死一、二塁としたが、フリーマンを遊ゴロ併殺としてマルティネスを右飛。6回に二死二塁から
アウトマンの左前打で1点を失ったが、ロハスから三振を奪って役目を終えた。
ナ・リーグ西地区首位を快走するドジャース打線を相手に好投。ストライクを取るカーブとボールになるカーブを投げ分け、高めの速球で押し込んで要所を締めた。
「立ち上がりのピンチを冷静に乗り切れたことが結果につながった。走者はたまったが0点でいけた。味方も効率良く点を取ってくれたので、そこから乗っていけた。速球を高めのゾーンぎりぎりに投げていけば、そこが目付けになるので多少スライダーが真ん中寄りになったり、カーブが甘く入っても、ミスショットしてくれる」と振り返った。
6月25日のアスレチックス戦で、マリナーズ在籍時の2021年にマークした7勝に並んだ。そこから1カ月を要して8勝目。「そこの勝ち星というのには、こだわりはないです。でも、今までのものを超えたというのは悪くない」。さらりと言ったが、今季はメジャー5年目で最高のシーズンを送っている。

今季は3敗のみで、貯金が5と好調。強豪ひしめくア・リーグ東地区で激しい優勝争いをする。その中で菊池は必要不可欠な存在になっている
7月26日時点で防御率は3.79。過去4年間でベストは21年の4.41だから、はっきり数字に表れている。シュナイダー監督も「昨季は心配になるところがあったが、今季はとても安定している」と信頼感を口にしている。
ずっと順調だったわけではない。4月は4勝0敗、防御率3.00だったが5月は2勝2敗、5.83と乱れた。このとき「何かを変えなければいけない」と考え、カーブで緩急をつけることにした。カーブは自身の中で消していた球種だったが、スライダーもチェンジアップも球速は88、89マイルでほぼ同じだったため、緩い球を交ぜようと考えたのだ。「遅い球を打たれると悔いが残るので、最初は勇気がいった。でも開き直って使い始めて、いまは自信を持って投げられる」。6月以降はカーブを有効に使い、6、7月は計10試合中8試合が2失点以下と好調だ。
また、8勝目を挙げた半日前、日本時間26日には母校の花巻東高が4年ぶりで夏の甲子園出場を決めた。「うれしいですね。監督とは連絡をしょっちゅう取っているし、麟太郎(
佐々木麟太郎)も2歳のときから知っているので感慨深い。なんとか最後に甲子園に出てほしかった。暴れてほしいと思う」とエールを送った。菊池にとって、いい夏になっている。