『運命の日』と呼ばれるドラフト会議が今年も10月26日に迫っている。ドラフト戦略は選手だけでなく、チームの未来も大きく左右するが、ドラフトの答えは数年後──とも言われるもの。そこで今季リーグ3連覇を果たしたオリックスの過去10年の指名を見てみよう。指名後の育成を含め、2016年秋の指名方針の転換は、チームの未来を大きく変えたと言えるものだった。 取材・文=鶴田成秀 
指名方針を転換させた2016年秋、山本由伸[写真右=都城高時代]を4位、山崎颯一郎[同左=敦賀気比高時代]を6位で指名。選手育成で黄金期構築と、のちの大飛躍を呼んだ
低迷→補強を繰り返し かつては即戦力を重視
チームの現状を考えれば、何ら不思議ではない。近鉄バファローズと合併してオリックス・バファローズとなったのは2005年のことだが、04年秋のドラフト会議から13年までの10年間で希望枠を含む1位指名は、大学・社会人9人、高校生5人。05~07年の高校生と大学・社会人の“分離ドラフト”を除けば高校生は実質2人と、即戦力と呼ばれる大学、社会人に指名が集中した。無理もないのは、同期間のチーム成績から一目瞭然で、Aクラス入りしたのは1度だけ。低迷が続くとあって、ドラフトに限らず補強を急ぐ必要があったのは言うまでもなかった。
ドラフトのみならず、FA選手や外国人を含め、低迷すれば補強を繰り返すも、補強選手が伸び悩む。低迷期を振り返れば、そんな悪循環が垣間見えたが、補強戦略の方向性を大きく転換したのが、2016年秋のことだ。同年シーズンは最下位に沈み、翌年の巻き返しに必要なことを当時の
福良淳一監督に問うと、こう返ってきた。
「生え抜きの奮起が必要不可欠。T-岡田、安達(
安達了一)、西野(
西野真弘)の3人には特にチームを引っ張っていってもらいたい」
指揮官の言葉は、実体験からのものにほかならない。自身も生え抜き選手として・・・
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