
得意のスライダーでメジャーの強打者たちを封じ込めるか。会見では東北のファンへ感謝の思いも口にした[写真=高塩隆]
楽天の絶対的守護神が夢に向かって大きな決断を下した。11月8日、仙台市内の球団事務所で今シーズン取得した海外FA権を行使し、海を渡ってメジャーに挑むことを表明。
松井裕樹が記者会見で、その思いを口にした。
「田中(
田中将大)さんと自主トレをさせてもらって、世界のトップのリーグでやっている選手に少しでも近づきたい、そのレベルに行けるようになりたいと、毎年、毎年、刺激を受けていった中で、自分も腕を磨いて、いつかはそのステージに立てるようになりたいと、気づいたらそう思うようになっていました」
田中将は2014年からヤンキースへ移籍。その年、入れ替わるようにドラフト1位で楽天に入団してきたのが、松井裕だった。それでも1年目のオフからともに自主トレを行い、そのたびにメジャーの“香り”を体感してきた。田中将は20年までヤンキースに在籍し、メジャー通算78勝をマーク。21年から楽天に復帰したが、偉大なる投手から受けた影響は計り知れなかった。その田中将からも「トライできるなら、行ったほうがいい」と背中を押された。
「まだまだ自分を成長させてくれる舞台がある。年齢も含めて、このタイミングが一番良いのかなと思った。高いレベルにトライしたいと決断しました」
プロ10年目の今季は4月5日の
西武戦(楽天モバイル)で史上最年少(27歳5カ月)での通算200セーブを達成。2年連続3度目のセーブ王にも輝き、日本を代表する抑えに成長した。メジャーでも「いいところで投げさせてもらえるように結果を出していきたい」と力強く語った。10月30日で28歳になったばかりと年齢の不安はない。10月下旬には現地でワールド・シリーズを観戦。「この中で投げたいとあらためて思いました」と目を輝かせた。
すでに複数のメジャー球団が獲得の調査に乗り出し、争奪戦の様相を呈している。間もなく、その答えが出るはずだ。