38年ぶりの日本一に輝いた阪神タイガース。ほぼ生え抜きの選手たちが躍動した。育成強化が功を奏したのだが、それを担う中核が、2025年2月に尼崎市・小田南公園内に移転する。現在、その施設がどれくらい出来上がっているのか……と思っていたら阪神電車の車窓から見えてきた。そこでぶらり途中下車し、勝手に周辺を取材してみた。 取材・文=椎屋博幸 写真=BBM 画像提供=阪神タイガース 
阪神電鉄本線の車窓から見える建設現場。突然左側に現れ、工事の進捗状況がよく分かる
歴史のある街「大物」
日本シリーズで新人記録となる7打点を挙げて大活躍した
森下翔太選手。臆することなくプレーする姿を「将来、大物選手になりそうだなあ」なんて思いながら見ていた。
シリーズ中、阪神取材のため、大阪から甲子園球場へ阪神電車で向かう。尼崎駅の手前、電車の進行方向左手に、大きなクレーン車が2台見えてきた。何か大きな建物でもできるのか? と車窓から眺めると……なんと2025年に開場予定の阪神二軍施設が建設中ではないか! 確か球場は甲子園球場と同じ大きさに造るのだとか。車窓から、建設状況がよく分かるほど、線路から近い場所で工事が行われている。これは球場好き、もちろん野球好きにはたまらない光景だ。まさしく「阪神電鉄の車窓から」新施設工事の進捗状況が見られるのだ。
これは行くしかない! と最寄り駅に降り立った。阪神尼崎駅の大阪側ひとつ手前の「大物」という駅が最寄りだ。「大物」……何とも縁起のいい言葉じゃないか、森下選手の大物ぶりのプレーを思い出しながら、よく読むと「大物=だいもつ」。だいもつ駅だった。
駅前には「大物川緑地 歴史の散歩道」という案内板がある。なるほど、歴史のある場所なのだろう。調べてみると、平安時代にはすでに船舶の発着地として発達しており、西日本から大きな木材が運ばれていたことから「大物」という地名が付いたとか(諸説あり)。その後、源義経が兄・源頼朝に追われ、弁慶らとともに西へ向かおうとした史実がある。それが歌舞伎の・・・
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