毎年オフに数多くの選手が海を渡り、オーストラリアの地で研さんを積んでいる。今回、DeNA球団と戦略的パートナーシップを締結しているABL(オーストラリアン・ベースボール・リーグ)、キャンベラ・キャバルリーへ派遣されたのは、ともに一軍出場経験のない投手・徳山壮磨と捕手・東妻純平の若手バッテリーだった。異国の地だからこそできる挑戦。環境の違う地だからこそ得られた経験は今後のプロ野球人生において間違いなく大きな意味を持つ。 取材=前田恵 ※取材は12月下旬 [C]ABL Media
異国だからできたこと
――まずは今回のABL派遣を志願した理由から教えてください。
徳山 2023年は最初あまりよくなかったんですが、後半から改善されてきて、「この感覚を伸ばしていけたら、来年行けそうだな」という感触があったんです。そんなとき一軍に登録されて、結果的に登板機会はありませんでしたが、「やはりここで投げなければいけない」と強く思いました。後半からのいい状態を来季につなげるためには、環境が違う場所でみっちり実戦を積めるオーストラリアが自分にとって最適な場所ではないかと考え、希望しました。
東妻 僕は日本でシーズンを通してあまり打席に立つことができず、実戦の数が少し少なかったと感じていました。そこで今季のうちに、より多くの試合に出て、より打席数を増やすことを目的に、オーストラリアへ来ました。
――ここまで実際、ABLでどんなことを突き詰めようと決めてプレーしていましたか。
徳山 渡豪前、自分の1年間のデータを見てアナリストの方と話をしたとき、後半のファームでのピッチングにおいては、一軍レベルの数値が出ていたことが分かったんです。その上で、課題もいくつか明らかになりました。2ストライクと追い込んでから決め切ることや、ストライクのゾーンで勝負すること、カットボールを習得すること……。そこをABLでのテーマにして投げてきました。
東妻 僕もコーチと課題を話し合ってから、こちらに来ました。守備面においては、日本でずっと取り組んできたこと。捕手としてはスローイング、外野手としては実戦での打球への対応。打撃面では真っすぐをバットでしっかりはじけるようにということと、変化球への対応を伸ばすことを考えてプレーしています。
――第4ラウンドのブリスベン戦(12月9日)では、2人でバッテリーも組みましたね。ABLについて打者のレベルなど、どんな印象を持っていますか?
徳山 NPBの外国人選手よりは少し落ちるのかな、という感じですかね。
東妻 レベルの高い選手は高いんですが、平均すると少し落ちるかもしれません。ただパワーがあるので、当たれば一発があるなと。
徳山 でも自分は「真っすぐをゾーンに強く投げる」という目的がありますから、そこは怖がらずに。それで実際、空振りをしっかり取れる球が増えてきて、手応えも感じてきました。
東妻 トクさん(徳山)はブリスベン戦で、僕が今まで使ってこなかった右打者に対するインコースもうまく使いましたよね。今までだったら、どちらかと言うと球威がある分ゾーン内に強く、というイメージが大きかったのが、右打者のインコースで意図的にファウルも取っていたので、あのとき捕手として「あ、すごくいいな」と思ったんですよ。
徳山 こっちに来てからは確かに、打たれても勉強になるだけだからと割り切って、自分の中でチャレンジできている部分はあるよね。もちろん抑えなければいけないんだけれども、あくまでも自分の成長できる期間として捉えているので、どんな場面でもチャレンジできる。
東妻 環境が違うから、思い切ってやれる部分はありますよね。「どうせだったら、やってみよう」という気持ちは大きいです。僕は自分の良さとか自分がどういう選手かを出していきたくて。自分としては・・・
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