本拠地で決めた。楽天が交流戦で初優勝。13勝5敗で8つ勝ち越し、勝率5割に戻した。投手陣の奮闘に組み替えた打線が機能。首位・ソフトバンクの背中はまだ遠いが、日本ハム、ロッテを視界にとらえている。 写真=川口洋邦 ファンは試合後も球場に残り、モニターでソフトバンク対阪神戦を観戦。交流戦優勝決定の瞬間を見届けた
試合終了の41分後、球場が沸いた。6月16日の
広島戦(楽天モバイル)を5対3で勝利した楽天。前日まで同率首位で並んでいたソフトバンクが阪神に敗れたため、交流戦優勝が確定した。最終戦は四番・
鈴木大地の1号2ランなどで序盤に5点のリードを奪うと、4回から先発・
松井友飛を代え、リリーフを6枚投入する継投策を展開。終盤に追い上げられるも5対3でリードを守り切った。
「今年球団創設20周年ですか。そういう年に交流戦初優勝。こうやって歴史に、球団史に名を残せたことは、非常にうれしく思います」
喜びをかみ締めたのは
今江敏晃監督。優勝確定後に会見場に現れると、「やっと笑える!」と思わず白い歯がこぼれた。5カード連続勝ち越しで迎えた広島戦(6月14〜16日)は1、2戦を1点差で落とし、優勝マジック2から足踏みが続いた。しかし、最終戦に白星をつかみ、2013年のリーグ優勝、日本一以来のチームタイトルを手にした。
就任1年目の40歳・今江監督は史上最年少での交流戦優勝監督となった
優勝の要因を「とにかく全員が一生懸命自分の役割を果たしてくれたのが一番」と分析した指揮官だが、交流戦Vは投手陣の復調がもたらしたとも言える。5月21、22日のソフトバンク戦(みずほPayPay、京セラドーム)では2戦合計0対33の大敗。一時チーム防御率が4点台に膨らんだが、交流戦は同2.29。先発は2.56、救援は1.74と見違える好投に打線も応えた。
投手陣の踏ん張りが快進撃をもたらした。特に救援陣は安定した投球を続け、守護神・則本昂大[中央]は交流戦6セーブを記録
今江監督が一番印象に残った試合に挙げた5月31日の
ヤクルト戦(福島)では代打の代打・
フランコが9回逆転サヨナラ3ラン。敵地・甲子園での阪神戦(6月4〜6日)では、1戦目が1対1の延長10回に
茂木栄五郎が勝ち越し打、2戦目が1対2とビハインドの9回に
小郷裕哉が逆転弾。小郷は11日の
巨人戦(楽天モバイル)で9回逆転サヨナラ打も放つなど、チーム全体として試合終盤の勝負強さが光った。
非情の采配も功を奏した。交流戦前までは
島内宏明が28試合、
浅村栄斗が15試合で四番を務めたがともに振るわず。すると、島内を交流戦開幕前に二軍降格通告。主砲・浅村を1日のヤクルト戦(楽天モバイル)で8年ぶりの六番に打順を下げ、4日からのビジター6連戦はスタメンから外した。「チームはファミリー」と語るボスの決断だった。交流戦2カード目、ヤクルト戦の2戦目(1日)から鈴木大が四番に入ると、打線はつながりを見せた。交流戦前はチーム打率.236が、期間中18試合で同.253。
辰己涼介の三番抜てきも的中した。
6月から四番に座る鈴木大が打線を活発化させるなど、打順変更が功を奏した
セ・リーグ6球団に13勝5敗と勝ち越し、交流戦前に8あった借金を完済した。リーグ順位は4位につけ、3位ロッテとは2ゲーム差、2位日本ハムとは2.5ゲーム差とAクラスを視界にとらえた。「まだまだ発展途上のチーム。もっと成長していく姿を見せられたら」とは今江監督。球団創設20周年の節目、秋にはどんな結末が待っているだろうか。