
神宮で995日ぶりの勝利を飾り、ファンの声援に応える奥川[写真=川口洋邦]
「本拠地っていうのは特別なので」
万感の思いで語ったのは
ヤクルトの
奥川恭伸だ。高卒2年目の2021年に9勝をマーク。しかし、翌年開幕直後に右肘痛を発症した。長く苦しいリハビリを経て、980日ぶりに勝利を飾ったのは6月14日の
オリックス戦(京セラドーム)。そして、右肘痛で緊急降板した22年3月29日以来、823日ぶりに本拠地・神宮のマウンドに上がったのは6月29日の
阪神戦だった。
プロワーストとなる4四死球と制球に苦しんだが、粘り強く投げ込んだ。2回一死一、二塁のピンチは
坂本誠志郎を中飛、
小幡竜平を右飛に。3回二死二塁では
森下翔太を空振り三振。5回二死一、二塁では
中野拓夢に中前適時打を浴びたが、続く森下は二ゴロに打ち取った。打線は
村上宗隆の15号ソロなどで5点を援護。奥川は5回87球1失点でマウンドを降りたが、救援陣がリードを守りきった(5対1)。
神宮では21年10月8日の阪神戦以来、995日ぶりの勝利だ。「チームの勝ちに貢献できるように、相手よりも1点でも少なくと思ってマウンドに上がりました。神宮で勝ちがついたのは、すごくうれしいです。(当時はコロナ禍で)僕にとって満員の神宮球場が初めての経験。本当にたくさん力をもらいました」と2万9491人のファンに感謝。
高津臣吾監督も「厳しいところでひと踏ん張りできた」と称賛した。
2週間前の復活勝利ではお立ち台で涙を見せたが、今回は笑顔。「本当はもっと長いイニングを投げないといけない。離脱がないように、これから皆さんの期待に応えられるように頑張る」。背番号18は新たな気持ちで突き進んでいく。