日本シリーズ進出の切符を懸けて、セ・パの王者がファーストステージ突破チームを本拠地に迎え撃ったファイナルステージ。激闘の連続となった熱戦の模様を振り返る。 CSファーストステージで阪神を撃破した勢いのままに、DeNAがディフェンス力で3連勝を果たしたものの、リーグ覇者も意地を見せて連勝で逆王手をかける息詰まる展開。日本シリーズ進出の行方は最終第6戦で決することになった。 ※試合結果、成績は10月20日現在 ※10月21日(月)DeNAが勝利し、日本シリーズへの進出を決めた 第3戦の3回一死満塁で併殺を完成させた牧[右]と森敬斗[中]の二遊間。守備力が光った巨人は第5戦で中山が[左]値千金の決勝ソロ
CSファーストステージで阪神を一蹴したDeNAの勢いは本物だった。第2戦で10得点を挙げた自慢の攻撃陣ではない。2試合で4失点にまとめた投手陣とディフェンス力。シーズンではチーム防御率3.07がリーグ5位、96失策は12球団ワーストだったものの、課題の守りが一転、決戦の舞台でストロングポイントへと転じた。
第1戦は6回1安打の先発のA.ケイから4人のリリーフ陣が完封リレー。第2戦も
大貫晋一が7回途中1失点にまとめると、3人の救援陣がパーフェクトリレーを見せる。第3戦も先発の
吉野光樹を3回1失点でスパッと交代。残りの6イニングを4人の継投策でゼロに抑えた。
三浦大輔監督が「全員が1球に集中している。ブルペンとベンチが同じ熱量で戦えている」と手応えを口にしたように、3試合で延べ11人のリリーフが11回1/3をゼロに抑えたことが3連勝の最大の要因であることは間違いない。
抑えの森原[右]を含めたリリーフ陣がDeNAの3連勝の原動力に
攻撃陣が沈黙したのは確かだが、第1戦は
佐野恵太の先制ソロ弾、第2戦はT.
オースティンの勝ち越しソロ弾、第3戦もオースティンが同点ソロ弾と、ここぞの効果的な一撃で勝利を手繰り寄せることができたのは、投手陣がつくった“流れ”をつかむことができたからだろう。
DeNAは四番・オースティンが第2、3戦で効果的な2発を放った
象徴的だったのは第3戦。0対1の3回一死二、三塁から巨人の主砲・
岡本和真を申告敬遠で歩かせて
大城卓三との勝負を選択。併殺狙いのシフトから中前へ抜けようかという痛烈な当たりを
牧秀悟が横っ飛びでつかみ、見事に併殺を完成させると、直後にオースティンの同点弾が飛び出した。指揮官が「スーパープレー。チームが盛り上がった」とたたえる好守が、流れをチームに引き寄せた。
巨人は
阿部慎之助監督の「自分が代打で出たいくらい」という言葉がすべてだ。最初の3試合で奪った2得点はいずれも四番・岡本和の打点だったが、第3戦では3回一死二、三塁、8回二死二塁でいずれも申告敬遠で歩かされ、後続が倒れて得点には結びつかず。
吉川尚輝の故障欠場の影響も大きく、ポイントゲッターの主砲を封じられると打線が機能しない弱点を露呈した。
第4戦に先発した巨人の井上は6回途中までノーヒット投球で連敗ストップに貢献した
それでも自慢の投手陣の力により僅差勝負に持ち込めていたのは事実。ワンチャンスを生かすことができれば勝敗は反転する。第4戦は1対1の7回一死から
坂本勇人と
中山礼都の連打で一、三塁とすると、
岸田行倫のセーフティースクイズに重盗を絡めて好機を広げ、3点を奪取して連敗をストップ。
巨人は追い詰められた第4戦の7回に岸田のセーフティースクイズで坂本が生還。泥臭く1点をもぎ取った
第5戦は7回途中無失点の先発・
山崎伊織からの完封リレーで、中山のプロ初となるソロ本塁打による1点を守り切り、アドバンテージを含め3勝3敗の五分に星を戻した。
王者の巨人が2012年の
中日とのCSファイナルステージ以来となる3連敗からの3連勝を成すのか。DeNAが17年以来となるリーグ3位からの下克上を果たすのか。日本シリーズ進出の行方は勝負の第6戦へと持ち越された。
第1戦 ROUND 1 RESULT ■10月16日(水) ◆開始18時00分(3時間5分)◆観衆4万2076人
【勝】A.ケイ[1勝]【S】伊勢大夢[1S]
【敗】戸郷翔征[1敗]
【本】[DB]佐野恵太1号(4回ソロ)
第2戦 ROUND 2 RESULT ■10月17日(木) ◆開始18時00分(2時間31分)◆観衆4万2006人
【勝】大貫晋一[1勝]【S】森原康平[1S]
【敗】菅野智之[1敗]
【本】[DB]T.オースティン1号(7回ソロ)
第3戦 ROUND 3 RESULT ■10月18日(金) ◆開始18時00分(3時間6分)◆観衆4万2180人
【勝】佐々木千隼[1勝]【S】森原康平[2S]
【敗】赤星優志[1敗]
【本】[DB]T.オースティン2号(4回ソロ)[G]岡本和真1号(2回ソロ)
第4戦 ROUND 4 RESULT ■10月19日(土) ◆開始18時00分(2時間54分)◆観衆4万2222人
第5戦 ROUND 5 RESULT ■10月20日(日) ◆開始18時00分(2時間40分)◆観衆4万2152人
【勝】山崎伊織[1勝]【S】大勢[2S]
【敗】山崎康晃[1敗]
【本】[G]中山礼都1号(5回ソロ)