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ロッテ・佐々木朗希はどこへ行く ポスティング手続き開始をロッテ球団が発表

 

日本で最後の登板となったのは日本ハムとの10月12日のCSファーストステージ第1戦[エスコンF]。8回無失点で勝利投手となった[写真=高原由佳]


 ロッテ球団は11月9日、佐々木朗希投手について、ポスティングシステムによるMLB球団への移籍に向けた手続きを開始すると発表した。佐々木は1年前のオフもMLB挑戦を訴えたとされ、契約更改が春季キャンプ直前だった。そして迎えたプロ5年目の今季は18試合に登板、自身初の2ケタ勝利となる10勝5敗、防御率2.35という成績を残したが、6、7月は1試合の登板に終わるなど、戦線離脱した時期があって今年も規定投球回到達とはならなかった(111回)。

 佐々木のコメントは「入団してからこれまで継続的に将来的なMLB挑戦について耳を傾けていただき、今回こうして正式にポスティングを許可していただいた球団には感謝しかありません。ロッテでの5年間はうまくいかなかったことも多かったですが、どんなときもチームメート、スタッフ、フロント、そしてファンの皆さまに支えられながら、野球だけに集中してここまで来ることができました。一度しかない野球人生で後悔のないように、そして今回背中を押していただいた皆さまの期待に応えられるように、マイナー契約から這い上がって世界一の選手になれるよう頑張ります」。

 本人は、マイナー契約でもいいからとにかく移籍したい。MLBには「25歳ルール」というものがあり、25歳未満の選手の移籍だとマイナー契約しか結べず、ロッテ球団に入ってくる譲渡金も、本人に入る年俸も、大幅に違う。11月3日に23歳の誕生日を迎えた佐々木にとって、お金の問題ではないのだろうが……。

 吉井理人監督は「チームとしてはもちろん、とても痛いです。ただ自分もアメリカでプレーをしたことがあるので気持ちはものすごく分かります。そして若い今、チャレンジしたいという気持ちも分かります。未完成な部分は正直、まだまだありますが、アメリカで自身を磨き、さらにレベルアップすることもできるのではないかとも考えます。2020年、石垣島キャンプのブルペンで初めて目にした彼の投球は私にとって野茂英雄を初めて見たとき以来の衝撃でした。それを向こうでぜひ証明してほしいです」と、10勝投手を失う監督の立場と、かつてメジャーで投げる夢をかなえた立場の両方からの正直な心情を明かした。コメント内で名前が出た野茂(元ドジャースほか)はMLB移籍前の近鉄時代に吉井監督とチームメートだったが、NPB在籍期間は偶然にも佐々木と同じ5年間。ただし、野茂は5年で1051回1/3を投げている(佐々木は394回2/3)。

 若者が夢に向かって次のステップに進むことを、誰も阻止できない。しかし、佐々木の力で優勝することもできず、25歳以降なら何十億円にもなったはずの譲渡金を得ることができなくなるロッテ球団は、あと2年待ってくれと説得することもできたはず。松本尚樹球団本部長は「入団した当初より本人からアメリカでプレーをしたいという夢を聞いておりました。今年までの5年間の総合的な判断として、彼の思いを尊重することにしました。日本の代表として頑張ってほしい」と言うが、佐々木側の強い意思に押し切られたようにも見える。補強はすると言うものの、来年のチーム成績が今年よりも下がったらファンは納得しないだろう。
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