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メキシコ野球発見録

【メキシコ野球発見録】野球を通じてどう幸せになるか 独自の方法で未来を切り拓くアカデミー「われわれのゴールは選手として育て上げることではない。ここに来る少年たちが素晴らしい人間になれるように準備させることだ」(ベルメン氏)

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世界トップの12カ国が“世界一”をかけた争うプレミア12が開催していたが、同大会に出場したメキシコは近年急速に力を伸ばしている。同国の野球リーグも右肩上がりの成長。知られざるメキシコ野球の最新事情を短期集中で連載していく。
文=中島大輔 写真=龍フェルケル

レオネスのアカデミーに在籍するセキネ。取材当時17歳の有望株だ


麻薬カルテルが拠点を置く地で運営する理由


 メキシコの太平洋沿いにあるシナロア州の都市マサトランは美しいリゾート地だ。車窓から青々としたビーチを眺めていると、この街の“悪評”はすっかり脳裏から消えていく。

「あそこでバイクに乗っているのはドラッグカルテルの一員だ」

 名門レオネス・デ・ユカタンのアカデミー「アカデミア・デ・ベイスボル・デル・パシフィコ」で捕手コーチを務めるマヌエル・ベルメンは車のハンドルを握りながらさらっと言った。この街は麻薬王“エル・チャポ”ことホアキン・グスマンが逮捕された場所として知られる。

「俺はこの街の出身だけど銃撃を見たのは一度しかない。安全だろ?」

 ベルメンは笑みを浮かべた。メキシコを訪れる旅行者には治安の悪さが注意喚起されるが、地元の人々は危険を感じていないようだ。

 麻薬カルテルも拠点を置くシナロア州で、メキシコ南部のメリダに本拠を構えるレオネスがアカデミーを運営する理由は何か。

「メキシコで才能豊かな選手の多くは・・・

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