
7イニング制等を検討する同会議は2024年12月6日の令和6年度第6回理事会で発足。第1回会議は1月10日、大阪市市内で開かれた。メンバー15人全員が出席[対面11人、オンライン4人]。座長には日本高野連・北村副会長が選任された
日本高等学校野球連盟は1月10日、大阪市内の中沢佐伯記念野球会館で「7イニング等高校野球の諸課題検討会議」の第1回会議を開催した。検討会議の設置目的は「部員の健康対策(障害予防・熱中症対策)、教職員の働き方改革、気候変動、高校野球を取り巻く状況に対応するため7イニング制を含め諸課題について検討し、対応策をまとめる。実現可能な対応策については適時、理事会に提案していく」というものだ。
昨年6月には「高校野球7イニング制に関するワーキンググループ」を立ち上げた。高校野球に7イニング制を導入すると、どのようなメリット、デメリットがあるか、海外での高校年代の情勢はどうなっているかについて4回議論を重ね、12月の理事会に報告された。その提言を受け、1年かけて検討会議で議論し12月の理事会までに対応策をまとめる。7イニング制を導入する、しないの2択だけでなく、継続審議となる可能性もある。座長はワーキンググループに引き続き北村雅敏日本高野連副会長が務めることとなった。
導入の最終判断は理事会審議で決定

同検討会議後には日本高野連・井本事務局長[左]が報道陣に向けて、取材対応した[右は古谷純一事務局次長]
第1回会議にはオンラインも含め15人のメンバーが全員出席し、これまでの情報整理や今後の議論の進め方を確認した。会議後の会見で日本高野連・井本亘事務局長は言った。
「会議を通じて話し合いをしていこうとわれわれで決めましたので、責任を持ってやっていきたいというのが今の心境です。部員の健康対策、肩肘だけでなく、体全体の障害予防、暑い中での熱中症対策を含めた健康、きちんとした状態で野球をやってもらいたいというのが主眼になります。高校野球を運営されている指導者の皆さんも学校の教員の方がほとんど。働き方改革が進んでいる中で、中学校の部活動は地域で展開しようかという、一昔前とは取り巻く状況が変わっていますので、そこにも対応できるように、何をしていったらいいかを『諸課題』ということで、1年をかけて何らかの対応策を検討していきたいと思っております。いろいろな皆さんのお考えがあるというのは理解した上でこれから先、高校野球を次の世代につなげていくにはどうしたらいいかというのはすごく意識しながらやっていかないといけないと考えております」
今回の「諸課題検討会議」の名称が示すとおり、7イニング制以外にも、リプレー検証や指名打者制度等についても議題に挙がっている。
導入する際の最終判断は日本高野連の理事会での審議を経て決定されるものの、議論がまとまり理事会で承認されれば12月を待たずして、その時点で導入される可能性もある。検討会議は今後、月1回ペースをめどに議論を進める予定。甲子園大会などの伝統を重んじていきながらも、時代の変化とともに、高校野球の運営は、変革が本格化してきている。
取材・文=小中翔太 写真=牛島寿人