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HUMAN CLOSE UP

巨人・田中将大 思いを新たに伝統球団で再スタート「自分の好きな野球。楽しくやることができれば一番いい」

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計11年間を過ごした楽天を電撃的に退団し、ジャイアンツに新天地を求めたベテラン右腕。盟友との再会を果たした現役レジェンドは、春季キャンプでも積極的な取り組みにより、周囲のサポートを受けながら順調に調整を進めている。すべては、日米通算200勝を通過点に、完全復活を遂げるため――。
写真=桜井ひとし
※年齢は2025年の満年齢


好きだった巨人で、あこがれの斎藤雅樹の『11』を背に再出発を切った


“縦振り”を取り戻す


 プロ19年目のスタートは、盟友と同じユニフォームを着て迎えていた。2月1日、宮崎キャンプ。雨のため室内練習場の木の花ドームで初日を迎えたが、巨人の田中将大を一目見ようと、開場前から長蛇の列ができていた。小学1年生のとき、ほぼ同時期に昆陽里タイガースに入団し、切磋琢磨してきた坂本勇人と再びの共闘。「想像もしていなかったけど、同じユニフォームを着てプレーできるのはうれしい」。同じグラウンド、同じウォーミングアップで再出発した。

 背番号『11』がお披露目となったこの日、復活に向けたプログラムがスタートした。キャッチボールから久保康生巡回投手コーチが密着マーク。昼過ぎのブルペンでは日米通算197勝の右腕が、黙々とネットスローを行った。“魔改造”と呼ばれるフォーム修正に定評のある久保コーチによる計1時間25分に及ぶ熱血指導。約120球を投げ込み、「疲れましたね」と言いながらも顔には充実感が漂っていた。

 調整が一任されているS班スタート。「感覚をガラッと変えようとしているので大きな違いを感じてますけど、うまく投げられるときの感覚はすごくいい。なんとかものにしたい」。当初は第1クールからブルペン入りの予定だったが、約10日間は“改造”に専念することとなった。2日目もネットスローを繰り返し、マウンドの途中に障害物を置くなどして113球の投げ込み。体が縦回転に近い「縦振り」のフォームを意識付けた。3日目には今キャンプで初めてブルペンで投球練習を行い、立たせた捕手に8球、さらに片膝立ちの状態にさせて28球。「投げている感覚が違います。めちゃくちゃいいです」と手応えを口にした。

 再スタートのサポートを託されている久保コーチは言う。「良かった2013、14年あたりのビデオから、21~24年とずっとこう見返していたときに、『こうじゃないかな』というところは、箇条書きというか、彼には送った」。理想は24勝0敗で伝説となった楽天時代の13年。「勝ってる時期はすごく正しいよね。偶然じゃないんですよ、必然的なものがある」。当時は体が縦回転に近い「縦振り」のフォームで、リリースポイントも今より打者寄りだった。だが、「年々、横にどんどん、体の回転軸が右側に寄っていくんですよ」。ボールにしっかり力が伝わらなくなる横回転の「横振り」気味になっていた。それを矯正するために課したのが、マウンドで本来とは反対向きに投げる逆傾斜のネットスロー。通常より左足をしっかり踏み込む必要があり、無意識のうちに縦回転を体に染み込ませる狙いがあった。

 ユニークな練習も行った。第1クール最終日。ネットスローに取り組む田中将の右手にはボールが2つあった。2球同時投げの狙いは体が縦回転に近い「縦振り」のフォームの意識付け。縦振りであればボールは・・・

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