週刊ベースボールONLINE

連続写真に見るプロのテクニック

【連続写真】ソフトバンク・中村晃「どんなピッチャーに対しても自分の間合いに持ち込むことができる。バットの出し方もコンパクトに修正。今季のアベレージに期待です」

 

昨季は自律神経失調症と腰痛などの影響もあり、44試合の出場にとどまりましたが、本来は打線に欠くことのできない左の巧打者です。2014年には最多安打(176安打)のタイトルを獲得し、実働9シーズンで3度の3割超え、また、ほかのシーズンも3割に迫るアベレージを残すなど、リーグ屈指の打撃技術を持っています。王貞治球団会長には「打撃職人」、秋山幸二前監督には「技術屋」と高く評価されていますね。

【チェックポイント】[3]早い始動で待つ◎下半身が強靭


【チェックポイント】[5]腰のラインは上がるが肩のラインで±ゼロに


【チェックポイント】[10]肩口からコンパクトにバットが出る◎


【チェックポイント】[13]捉えるポイント◎軸と下半身も安定



【ポイント】準備◎


 ホークスが誇るヒットメーカーです。中村選手の最大の特徴は準備にあり、早くタイミングを取って、いつでも打ちに出られる姿勢ができていることにあります。写真1〜写真4がそれに当たり、誌面上ではスペースに限りがあるので4コマに収めていますが、かなり早い段階から足を上げ始めて、写真3の状態(つまり一本足)でキープし、投球に合わせて写真4以降の動作に移っていきます。これは下半身が強く、安定していないとできないこと。どんなピッチャーを相手にしても、自分の間合いを作って打ちに出ることができるので、差し込まれることも少ないですし、高いコンタクト率を誇るのです。少し足を上げ過ぎている分、写真5では腰のラインが斜めになってしまうのですが、上半身を少しだけピッチャー方向にかがめることでバランスは取れていると思います(写真5〜写真9)。

 同じように肩のラインも斜めになってしまうと終わりですが、このテクニックがあるのでスムーズにバットが出てきます。

 あとは踏み込み方と、その後のスイングがどうか、ということですが、昨季は振り上げる意識が強く表れていました。これは本人の意志で長打を増やそうとしていたのですが、今季からアベレージを意識しているとのことで、スイング自体はコンパクトになっていますね(これがプロ入り後の本来の姿でしょう)。それが良く見えるのが写真9〜写真12までのバットの出し方で、ラインを合わせに行っているのが分かります。写真9のようにテークバックを取ってグリップはかなり後方に残りますが、昨季までならここから真下にグリップを落として、振り上げて行っていたものを、写真10のように肩口から前にグリップを出してきて、写真11〜写真12とバットがうまくラインに乗ってきていますね。

 写真13はインパクト直後の一枚ですが、おそらくとらえたポイントは踏み出した右足の少し前で、インコース寄りのボールのさばき方としては完璧。この打席の結果は分かりませんが、内容としては十分なのではないでしょうか。その写真13に至るまでの下半身の動きも文句のつけようがなく、やや左ヒザにも余裕を持ちながらインパクトを迎えていますので、仮に緩い変化球で抜かれても、中村選手特有の柔らかい前さばきでコンタクトしていたと思います。インパクト後の形的にも写真13は最高だと思います。(フォーム解説=柴原洋)

PROFILE
中村晃/なかむら・あきら●1989年11月5日生まれ。埼玉県出身。左投左打。176cm83kg。外野手。帝京高から2008年高校生ドラフト3巡目でソフトバンクに入団。4年目の11年に一軍デビュー。14年には最多安打のタイトルを獲得し、通算打率.289のアベレージを残しているように、リーグでも屈指の打撃技術を誇る。19年の成績は44試合34安打3本塁打11打点0盗塁、打率.245
連続写真に見るプロのテクニック

連続写真に見るプロのテクニック

元プロの野球解説者が現役選手の打撃フォーム、投球フォームを連続写真をもとに解説。

関連情報

新着 野球コラム

アクセス数ランキング

注目数ランキング