打席での豪快なスイングとは対照的に、道具には繊細にこだわる四番候補。打撃好調だった今季の秘密を探る。 取材・文=吉見淳司、写真=太田裕史、BBM 日本シリーズ第1戦(10月22日、対
日本ハム、マツダ
広島)では
新井貴浩を押しのけて四番に座り、豪快なホームランを放つ活躍を見せた
松山竜平。その頼れる打撃に欠かせないのが、この2つのアイテムだ。
バットはプロ球界には珍しいザ
ナックス社製のもの。長さ33.5インチ、重さ920〜930グラムの宝刀で、何度も劇的な一打を放ってきた。
「ザナックスさんは僕の要望にすごく応えてくれる。プロ野球選手として、納得いくものを使わせてもらえるのが大きいですね」
使用している木材はタモ。ボールがバットに引っつくような感覚が強く、「ボールをはじくよりも運ぶのが僕のバッティングだと思っているので、僕に合っていると感じました。タモは細かい木目がきれいに見えるんですよ。メープルだとこういう木目にはならないし、ホワイトアッシュだと太くなる。タモの木目が好きで、試合ではきれいな真っすぐなものを使っています」。

愛用している木材はタモ。細かく美しい木目のものを厳選して試合用にしている
重心はトップではなく、振りやすさを求めてミドルバランスに。グリップはタイカッブ型を使用している。また、鮮やかなオレンジ色も特徴的だが、「OBの井生(
井生崇光、現スコアラー)さんがオレンジ色のギアを使っていたんですよね。井生さんが大好きだったので、『この色を使います』と言って使わせてもらうことになりました」。

先輩から受け継いだオレンジ色のバットが、今や松山の代名詞ともなっている

現在はグリップエンドの太いタイカッブ型を使用。オフにはオーソドックスなものも試すつもりだ
オフには毎年、バット工場を訪問し、いろいろなタイプのバットを試すという。「結局は今使っているものに戻ってきてしまう」と苦笑するが、このオフも若干長く、グリップはオーソドックスなタイプを試してみるつもりだ。
もう一つ、松山のトレードマークともなっているのがサングラスだ。ナイター、屋内用とデーゲーム用の2種類を使い分けている。
「普通の健康診断でやるような視力検査では1.5あったので気にしていなかったのですが、オークリーさんの機械で、さまざまなシチュエーションで検査したところ、薄暮やナイター、ドーム球場だと0.6まで下がっていました」
効果はてき面。苦手にしていたというドーム球場でも投手の投げたボールをしっかり見られるようになり、ボール球を振ることが減少。「正直、世界が変わった」と驚く。現在では状況を問わずにすっかり欠かせないアイテムとなった。

2種類を使い分けているサングラス。屋内、ナイターでは写真の色のないレンズを、デーゲームでは色つきのレンズのものを選択している
自らを「ザ・バッター」と自称する松山。
「守備、走塁はダメダメなので(苦笑)、打たないとこの世界では生き残れないと思っています」
信頼を置く愛用ギアとともに、バットマンはワンスイングに強き思いを込めて打席へと向かっている。
PROFILE まつやま・りゅうへい●1985年9月18日生まれ。176cm 95kg。右投左打。鹿児島県出身/鹿屋中央高-九州国際大-広島08=9年