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道具の流儀 2018

日本ハム・村田透 ミズノの投手用グラブ 遊び心と謎(!?)が詰まった異彩を放つ赤いグラブ

 

日本球界に復帰して2年目。メジャー仕込みの巧みな投球術でもはやチームに欠かせない存在となった村田透。そのピッチングを陰で支えているのが色鮮やかな赤いグラブ。誕生のきっかけは、母校の大先輩で目標にもしている“あの選手”からのひと言だった。
取材・文=松井進作、写真=山口高明、BBM


 赤い革に青い紐(ひも)。側面にはゴールドとシルバーの星が施され、手入れの部分には謎(!?)の「$マーク」が刺しゅうされている村田透のグラブ。じっくりと見てもらえば分かるが、全体を覆う革にもメッシュ素材が所どころに使用されるなど、至るところに創意工夫と本人が今回の取材中に何度も口にした“遊び心”が散りばめられている。

「いまでこそこんなド派手な赤いグラブを使っていますけど、昔は地味なものが好みでした。そんな僕の意識を変えたのは大先輩からの言葉なんです。そこから野球人生も紆余曲折あって、グラブも試行錯誤しているうちに最終的にこんなになっちゃいました(笑)」

 その先輩の名は同じ大体大出身の上原浩治(現巨人)。メジャー時代を含めて村田があこがれ背中を追いかけ続けている存在であり、アメリカでプレーしている間もいろいろなアドバイスをもらってきた恩師である。そんな男から2010年のオフに海を渡る際、「マイナー・リーグには世界中からたくさんの選手が来る。その中でどんな些細なことでもチームの監督やコーチに目を留めてもらうために、グラブはもっと派手で目立ったものにしろ」とアドバイスを受けた。

 アマチュア時代を含めてオーソドックスなオレンジや紺などの色を好んで使ってきたが、上原の言葉で道具は自身のプレーを支えてくれるだけでなく、時に自分をアピールするものにもなってくれることを教わった。そこから村田のグラブに対する意識も大きく変わり、カラーだけでなく細部の隅々にまで気を配るようになっていく。

投手用としてはかなり大きめ。ウェブの部分もボールが逃げないように頑丈な造りになっている


「守備が下手なので少しでもボールが入ってくれるように(笑)」と投手用としてはかなり大きめで、ポケットも捕球面がワイドに作られているのが特徴。型作りもすべて自分で行い、ミズノの担当者にいつもオーダーをするのは「良い革にしてください」だけ。紹介してくれたグラブも今年の1月に湯もみなどを一切していないカッチカチの状態のものをメーカーから受け取り、紐で縛ってみたり、クリームやオイルを塗ったり、キャッチボールをしたりして丹念に自分好みの型に仕上げていった。

 さらに目を引くのがグラブの側面の11個の星と、手入れ部分の$マークの刺しゅうだ。入れた理由を尋ねると、いたずらっぽい笑顔を浮かべながら「どちらも遊び心です。星や$の数とかはちょっとナイショというか……皆さんで考えて推理してみてください。たまにはこんな選手がいても面白くないですか(笑)」。

手入れの部分には金色の刺しゅうで無数の「$マーク」が施されている


 記者の推理は、星はゴールドが3、シルバー6、ゴールド2つの順番で縫い込まれており、巨人での3年間、アメリカでの6年間、日本ハムでの2年間と数も辻褄は合う。難題の$マークは……もっと活躍してお金を稼げるようにと自分自身を奮い立たせるため? 真相は本人にしか分からないが、日米を股にかけた右腕のアイデンティティーが詰まった異彩を放つミズノの赤いグラブ。今回明かされなかった謎もまた良い味のエッセンスとなり、その存在感を際立たせている。


PROFILE
むらた・とおる●1985年5月20日生まれ。183cm82kg。右投左打。投手。大阪府出身/大体大浪商高―大体大―巨人08(1)〜10―MLBインディアンス―日本ハム17〜=5年
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プロフェッショナルたち(選手、コーチ、スタッフ含む)のこだわりの道具、ギアをクローズアップ。

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