グラブは決して捕球するためだけの道具ではない。投手にとっては投球動作にも関係する大切な“体の一部”だ。今季、不惑を迎えるオリックスのサイド右腕もその考えを持つ。派手さのない“真っ黒”のグラブに込められた思いは、救援右腕としてブルペンを支える男の矜恃が詰まっている。 取材・文=鶴田成秀 写真=佐藤真一、BBM 
ラベルも含めて“黒一色”に染め上げているのは、13年目のベテランならではのこだわりだ
試合の勝敗を大きく左右する救援マウンド。託されたイニングは短くとも、試合終盤に失点を許せば相手に流れが傾き、好投すれば攻撃に勢いをもたらす。その自覚がにじむのがグラブだ。プロ13年目、今年、不惑を迎えるベテラン右腕は、入団時から大きめのグラブを使い続けているのは、小さければ球種によってボールを握る際にグラブが開いてしまうため。わずかな開き具合もプロは見逃さない。だから、グラブも昨季から黒一色に変えた。投手のグラブの色の規定が野手よりも厳しいのは、ボールの白と区別をつけるためだが、2017年からルール改正。投手のグラブも革とレースの色を変えての2色が許可された中で「皆いろいろな色を使っていますよね。でも僕は黒。これが一番のこだわりです」と胸を張る。
こだわる理由は2つ。1つはグラブの大きさと同様、クセの傾向がバレないため。2色のグラブを使えば球種によってのフォームの変化がグラブの角度などで判別されやすくなる。だから単色とし、色も暗い色の“黒”を選んだ。その徹底ぶりが分かるのがラベル。「SSKのプロモデルはゴールドと決まっているのですが・・・
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