「じっくり育てる」や「壊したくない」は臆病者の言い訳にすぎない
このところメジャーのダルビッシュ(レンジャーズ)と黒田(ヤンキース)の投げる試合以外は、野球を見る気が起きなかったのですが、日本のプロ野球で久々にプロの楽しさを味わました。
楽天の高卒ルーキー・
釜田佳直投手が、交流戦優勝の
巨人相手に完投勝利をマークした試合(6月17日、Kスタ宮城)を見たからです。
スポーツ各紙には、星野監督とのツーショットが載ってましたが、特に日刊スポーツ(東京版)のが良かったなあ。ちょうど父の日。釜田が「父ちゃん、勝ったよ」と父・星野監督に語りかけると、仙ちゃんも「よく勝ったな。いいぞ」と慈愛のまなざしで答える、そんな感じの、いいツーショットだった。朝日新聞(同)が、運動面で「日刊スポーツ提供」のクレジットで同じ写真を使ってました。それだけインパクトのあるいい写真だったのです。
もちろん、釜田がファンに強烈なインパクトを与えてくれたからこそのいい写真なのですが、オレが「えらい」「すごい」と感心したのはね、星野監督が2対1というタイトな勝負なのに9回のマウンドに釜田を送ったことです。星野監督は「自分で勝負つけてこい!」と送り出した。いいセリフじゃないですか。プロの投手は、いつでも自分で勝負をつけなくちゃダメなのです。
それなのに、いまの監督は、勝負をつけさせない。仙ちゃん以外の監督だったら9回は120%交代です。いつからこういう野球に変わっちゃったのかねえ。失敗したっていいんです。ルーキーなんだから。だれも「責任取れ!」なんて言わんよ。
まあしかし、勝負をつけろと言われて、アッサリ勝負をつけちゃうんだから釜田クンはすごい。しかも、あの杉内に投げ勝ったのです。とにかく、初球にストライクを取れる。これがいいんです、というより、これが投手のすべてです。巨人の打者は「なあに、そのうちコントロールを乱すさ」と高をくくっていたのですが、一向に乱さないので焦ってきた。焦ると早打ちになる。気がついたら内野ゴロばっかり打たされロクなチャンスもなく完敗。1対2だけど完敗ですよ。
バントやスクイズばっかりやってると、いい投手にどう対応すればいいのか忘れちゃうんです。巨人・原監督は釜田のことを「非常に自分を出せる投手」とホメてましたが、自分を出せる投手になれるかどうかは、使い方次第なんです。聞けば星野監督は、釜田の去年の甲子園でのピッチングを見て「コイツは、精神力が違う。使える」と判断して、1年目からどんどん使うという方針を固めたそうです。そう、ここなんですよ、ポイントは。
指揮官はまず、しっかりとその選手の特徴、特性を見極め、いいタイミングで使う。これでルーキーは・・・
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