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谷繁元信 捕手 #27

生殺与奪はこの男の手中に

 

 中日のペナント奪回は、高木監督が言うように「ピッチャーしかない。一にも二にも投手陣」。そしてその投手陣はといえば、生かすも殺すも谷繁元信にかかっている。

「この年齢になると、自分の成績のことよりも何とか優勝したい。もう1度日本一になりたいという思いの方が強くなるんです。2000安打のことをよく聞かれますが、もちろん意識はします。でも自分は打者ではなく捕手。そう思ってやってきたので、何かピンとこないんですよね」

 自身の思いもチームの重要度も「打」より「守」なのだが、今季ばかりは打撃の話題に関心が集まるのも仕方ない。史上最遅記録を大幅に更新する2000安打は、あと16本(4月11日現在)と射程圏内に入っている。4月7日の巨人戦(東京ドーム)では内海から今季1号も放った。「25年連続本塁打」は、野村克也と並ぶプロ野球記録でもある。「自分が並んじゃっていいのかな。正直、そう思うことがあります。だって何年連続以外の数字は全然違うわけですから」

 恐縮する谷繁だが、その必要はない。捕手という肉体的に負担がかかり、経験が問われるポジションで高卒1年目から試合に出て、本塁打を放ち続けてきた。丈夫な体、安定した捕球能力、勝負どころで投手から信頼される配球術。何かが欠けていたら、2000安打も25年連続本塁打も達成できなかったはずだ。

 とはいえ開幕直後に右太ももを、7日の試合では左太ももを痛めた。満身創痍の42歳に休まれては困る。若返った投手陣を束ね、叱咤し、導くためにも谷繁の存在感はますます大きくなっている。

オーロラビジョン

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