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谷繁元信 選手兼任監督 #27

若手とベテランの競争を促す

 



 12球団で最も注目されている監督だろう。球団史上、59年ぶりの選手兼任となる谷繁元信監督だ。「誰かが違う方向を向くことなく、みんなでしっかり同じ方向を向いてやっていこう。日本一を目指して」。1月31日に選手宿舎で行われた恒例の全体ミーティングでは、わずか1分で訓示を終えた。が、この短い言葉に谷繁監督の思いはすべて詰まっている。

 キャンプでの1日は選手優先で動いている。「兼任にはちょっとずつ慣れていくしかない。まず、選手という立場があるからね。その上で監督としてのスイッチを入れていけばと考えています」

 全体メニューを終え、個別練習が始まるころにノックバットを手にする。それが選手・谷繁から監督・谷繁へと変わる瞬間だ。

 平田、高橋周ら期待の若手が打ち込む姿をじっくり見たり、井端が抜けた遊撃手の特守には一塁手役として参加したりする。若手とベテランの融合。これがミーティングで口にした「同じ方向」だということだ。「キャンプではベテランが元気過ぎるよね。若い人も負けないようにやらないと、その差が縮まってこない。自分も含めてベテランはまだまだ負けてないと思っているし、少しずつみんながレベルを上げていくのが理想ですよね」

 2000安打にあと100本の和田や新加入の小笠原、そして荒木、森野……。ベテランの経験と若手の勢いが相乗効果を生み出すのが指揮官の狙いだ。手薄になったと言われる先発陣は田島、武藤、井上ら中継ぎ経験者も候補者として競争激化。谷繁竜は充実したキャンプを展開中だ。
オーロラビジョン

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