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野上亮磨投手・数字以上の成長を示した6年目

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 昨季は自己最多の11勝を挙げ、2年連続2ケタ勝利を期待された中、ここまで8勝9敗(9月25日現在)の成績は、野上亮磨にとって満足いくものとは言い難い。だが、投球の内容からは成長を遂げている部分が多いことは明らかだ。

 昨季以上の成績を残すためのトライとして、春季キャンプでは新たな球種としてシュートを習得した。数年前にもらった潮崎哲也現二軍監督のアドバイスによって、シュートは「いつか覚えなければ」と、常に意識していた球種だった。元来のセンスの良さもあり、「シュート投げてみようかなぐらいの、遊び感覚」でマスターした。球種が1つ増えたことで、間違いなく投球の幅が広がった。

 最大の成長は、プロ入り初完投を達成したことだろう。2012年から一軍で結果を出してきたが、自身で常に課題として口にしていたのが「6回以降、3巡目からの投球」だった。今季、8月22日の日本ハム戦(札幌ドーム)で、ついにその壁を超えた。6年目での初完投に「恥ずかしい」と苦笑いだったが、確かな進化に自信をつけた。9月14日の楽天戦(西武ドーム)でも完投勝利。9回二死まで3安打無失点と初完封を目前にして四番ジョーンズに一発を浴びたものの、終盤まで持続させた慎重かつ積極的な投球はこれまでとは違う姿だった。高卒新人捕手・森との初コンビで「銀(炭谷銀仁朗)との配球を思い出して、(森のサインに)何度も首を振った。でも、新鮮だった」。今まで以上に多くのことを考えながらの投球で一皮むけた。

 新球種のマスター、課題克服、投球の組み立て。今季手にしたものは、数字以上に大きかった。

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