西田哲朗の変化を求める姿勢が、来季への意気込みに表れていた。コボスタ宮城で行われた秋季練習で新任の梨田監督からアドバイスを受けた。「バッティングの固さがあるというので、やわらかくと繰り返し言われました。(右腕で)弓を引くようにというタイミングの取り方を教わりました」。これまでよりリストの位置を下げて、新指揮官の現役時代の代名詞である「コンニャク打法」に似た感覚でフォーム改良に取り組み始めた。
昨季は自己最多の131試合出場で打率.250、7本塁打、41打点をマークして遊撃手の座をつかみかけた。だが、今春キャンプの序盤で打撃練習中に左足甲を骨折。思わぬアクシデントから、すべての歯車が狂った。大きく調整が遅れながら、4月中旬に一軍初昇格を果たした。だが打撃の調子は上がらず、ベテランの後藤からレギュラーを奪うには至らなかった。
首脳陣からは「何度もレギュラーのチャンスをつかみかけているのにもったいない」と厳しい言葉が飛ぶ。しかしそれも期待の裏返しで、今季の62試合出場で打率.220という成績は秘めた素質を生かしきれていないと考えているためだ。
倉敷での秋季キャンプでも、新フォームでバットをひたすら振り抜いた。「1日1日、自分のものになっている感じで、いい打球が飛ぶようになっている」と、手応えを口にする。今秋のドラフトでは支配下で3人の内野手が入り、特に即戦力候補の2位の大商大・吉持などはレギュラー争いの相手になる存在だ。「周りがどうであれ、自分がしっかり鍛えてベストを尽くすだけ」と、意地を見せる覚悟だ。