今オフの契約更改で最も注目されるのはエース・
涌井秀章だ。
西武からフリーエージェントで移籍し、3年契約の3年目を終えた。順調なら来季中にFA権を再取得することになる。流出を防ぎたい球団は複数年契約を用意しており、折り合えるかどうかはチームの未来を大きく左右すると言っても過言ではない。
ロッテ1年目の2014年は8勝12敗と負け越したが、15年は15勝を挙げて最多勝を獲得した。今季も10勝7敗と2年連続で2ケタ勝利をマークし、同僚の石川とともにリーグトップの5完投を記録。6回未満で降板したのは3回5失点でKOされた8月7日の
オリックス戦(京セラドーム)だけで、残る25試合はすべて6回以上を投げている。投球回は2年続けて188回2/3に達し、先発ローテーションから抜ければ穴を埋める存在は見当たらない、まさに大黒柱だ。
若手への影響も大きい。3年目で初めて先発陣の一角に食い込んだ二木は、「試合前の過ごし方とか、気になったことは聞くようにしている」と学び、飛躍につなげた。負けが込んだ時期には涌井から岩隈(マリナーズ)の著書を贈られ、前向きに考えるようになったという。周囲へのさりげない気配りも存在感を高める一因だ。
投手陣を預かる落合投手コーチも、「涌井に関しては何も注文することはない」と口にする。首脳陣からの信頼も厚く、チームに欠かせない背番号16。果たしてどのような契約で来季を迎えるだろうか。