鮮やかな一撃だった。
西川龍馬が一振りで試合を決めた。ポテンシャルの高さもさることながら、今や貴重な代打の切り札の1人だ。
今季初打席となった4月23日の
ヤクルト戦(神宮)でいきなり大仕事を果たした。同点の8回一死満塁で、代打で登場。マウンドにはヤクルトのセットアッパー・石山がいた。1ストライクからの2球目。外角低めのフォークをバットに乗せた。打球は右中間を破る決勝の2点適時打に。「結果を出せてよかった」と胸をなで下ろした。
緒方孝市監督も「最高の結果だ」と称賛した。
4月30日の
DeNA戦(横浜)では代打でプロ1号本塁打。内角低めの直球にバットを合わせた。8回一死一塁から初球攻撃。「思ったより伸びてくれてよかった。2年目での初本塁打は自分としては早かったですね」と振り返った。「何とかしようという気持ちだけです。何で打てたのかは分からない」と正直に言う。だがチームの流れを一振りで変える打撃は、まさしく代打の切り札の素質だろう。
ただ素質があるとはいえ、代打を専門にするには当然、早い。本人も首脳陣もそのつもりはない。出れば結果でも示す。4月25日の
巨人戦(
広島)で三塁でスタメン出場を飾り、好投する菅野からも安打を放った。
オープン戦で自打球を当てて出遅れた分、まずは代打から結果を残す。それがチームのためにもなるのだ。「今は感覚を取り戻すのに一生懸命」。天才と称される打撃は無限の可能性にあふれている。