
力強い投球で新エースを印象づけた菊池
エースが最後まで投げて、打つべき人が打つ。走るべき人が走り、つなぐべき人がつなぐ。まさに、理想どおりの白星だった。4月21日の
日本ハム戦(メットライフ)。9対0で勝利したが、何よりも圧巻だったのが
菊池雄星の熱投だ。
初回、先頭の
西川遥輝に右翼前に運ばれたが、許した安打はその1本のみ。2四球、1失策で走者は出したが、後続をきっちり断ち、チャンスを作らせなかった。直球でも変化球でもカウントをかせぎ、常にストライク先行で12奪三振。さらに9回、再びギアを上げ、球速153キロを計測する充実の内容だった。
完封勝利は自身2013年6月以来4年ぶり。今季は勝利数とともに、「いかに長いイニングを投げるか」をテーマに掲げているだけに、9回を投げ切れたことは本人にとっても大きな収穫となった。
打線も力強く援護。初回、
秋山翔吾の先頭打者弾で先制すると、3回には主砲・
中村剛也にも一発が出て追加点。4回に三塁打の
源田壮亮を
浅村栄斗がきっちりかえして中押しすると、8回に再び主将の一打でダメを押した。下位打線が四球などで上位につなぐなど、それぞれが役割を果たした形で最後まで攻め続けた末の9得点は、
辻発彦監督の目指す『隙のない野球』そのものといえよう。
開幕前、昨季までのエース・
岸孝之(現
楽天)が抜けたこともあり、「不安はあった」(辻監督)。だが、この試合で見せた新エースの頼もしき姿、そつがない強力打線にチームも、ファンも「十分上位を狙える」と、今後への確かな手応えをつかんだ大きな1勝だった。
写真=井田新輔