
思い切りのいい打撃でチャンスを拡大する役割を担う
待ちに待った瞬間だった。8月15日の
楽天戦(メットライフ)、先発メンバーに「七番、指名打者、
森友哉」の名がアナウンスされるとスタドからは「おかえり~!」と大歓声が上がった。
3月5日、WBC強化試合のキューバ戦で左ヒジに死球を受け骨折。約5カ月の長い月日を経て、一軍舞台で復活を遂げた。治癒が長引く焦り。練習再開後は思ったように体が動かないもどかしさと、何度もイラ立つ自分自身に直面した。
「思いどおりにできない日々がすごく続いて、情緒不安定で。浮き沈みの激しい時期が長かった」
それでも8月8日に二軍戦で実戦復帰を果たしてからは、能力の違いを存分に見せつけた。復帰2戦目で、いきなり本塁打を放つと、次の試合でも一発。瞬く間に一軍昇格が決まった。
一軍復帰戦でも非凡さは際立っていた。1打席目、二死一、三塁のチャンスに初球を打ってセンター前タイムリー。3打席目には2打点を挙げる三塁打で勝利に大貢献した。さらに翌日の同カードで、今季初本塁打も記録したのだった。見事な復活劇に、
辻発彦監督も、「甲子園でもあれだけの活躍をしていたから、やっぱりそういうもの(大舞台での強さ)を持っているんですかね」と、大物ぶりを絶賛した。
13連勝の和の中にはいられなかったことが悔しかった。だからこそ最終盤戦、栄光を目指す本格勝負の中で、チームに貢献したい思いは強い。8月29日の楽天戦(Koboパーク宮城)からは二番に座るようになった。打球を思い切り引っ張り、チャンスを拡大する役割がピタッとはまっている。
「100パーセント全力を出しきりたい」
ラストスパートでの大暴れを誓う森から目が離せない。
写真=BBM