
今季は再びクローザーに復帰し、通算100セーブをマークした増井
我を貫き、金字塔を打ち立てた。
増井浩俊が8月16日の
ロッテ戦(札幌ドーム)で通算100セーブを達成した。「ずっとここを目標に頑張ってきたので、本当に達成できてうれしい」と、白い歯を見せた。一時はあきらめかけた夢を自ら「わがまま」と表現するクローザーへの熱き思いで現実にした。
昨季は不調から守護神の座を追われ、新たな職場=先発として日本一に貢献した。それでも「抑えをやりたい……」という思いは消えなかった。昨オフに栗山監督に直訴。当初は先発要員として計算していた指揮官も再びリリーバーに戻すことを許した。開幕時は
マーティンがクローザーを務めるも故障離脱。すぐさま、元のさやに収まった。
今季は好調を実感していた。先発時の経験も生かしながら生命線の直球を低く集めた。失点しても最終的にリードを守り切ればいいと心に余裕を持ち続けられている。だからこそ大崩れしない。それだけにチーム自体の不調で出番が少なくなっても「しょうがない」と割り切れる。さまざまな経験から得た精神的な強さがこの男の最大の武器だ。
下位に低迷する現状に少なからず責任も感じている。「自分が先発なら、もう少しチーム状況も違っていたかも」と考えることもある。迷いを振り切り、常に緊迫感あふれるマウンドに立ち続けて結果を積み上げた。セーブとホールドの両部門での「100」超えは史上4人目の快挙。まだまだ、その右腕でチームに勝利を運ぶ。
写真=高原由佳