
8月から先発ローテを守っている酒居
酒居知史が先発ローテーションの一角として存在感を示し始めた。8月18日の
オリックス戦(京セラドーム)、プロ初勝利を2失点完投で飾り「本当に、素直にうれしいです」。生まれ育った大阪の地でプロとしての“真のスタート”を切り、喜びをかみしめた。
ドラフト2位。即戦力と期待され入団したが、開幕一軍入りを逃す。最初のチャンスは中継ぎだった。4月25日の
楽天戦(東京ドーム)でプロ初登板すると、10試合の経験を積んだ。貴重な時間だったが、酒居には先発をやりたいという強い気持ちがあった。「中継ぎをやっているときも、移動だったり、流れというのは先発の方を見ていた」と勉強の時間でもあった。
8月、ようやく先発としてのチャンスをつかんだ。「分からないところはさほどない。中継ぎの時間は生きている」とすんなり適応できたことも大きかった。初先発した8月4日の楽天戦(Koboパーク宮城)は8回をわずか100球、3安打1失点。救援陣が打たれて初勝利こそ逃したが、圧巻だった。
当初、先発のチャンスは2度の予定だったが、英二投手コーチは「あの内容で休ませる必要はない」と登録抹消をせずに先発マウンドを踏ませることを決めた。期待に応えて「3度目の正直」でうれしい初勝利。続く8月25日の
ソフトバンク戦、9月1日の
日本ハム戦と連勝し3勝をあげた。
9月8日のソフトバンク戦は6失点で初黒星を喫したが、苦労してつかんだ居場所だからこそ、今後も手放すつもりはない。「シーズンの最後まで、ローテーションで回りたい。ルーキーらしく投げていきたいです」。先発の柱へ、鍛錬の日々は続いていく。
写真=BBM