
故障で戦列を離れる時期もありながら、打撃だけでなく走塁でもチームをけん引している糸井
移籍1年目の
糸井嘉男は盗塁のタイトル争いに参戦することができなかった。トップを走る
広島の田中に大きく水を開けられた。
1年前は
オリックスで53盗塁に成功し、史上最年長の35歳でリーグトップに君臨。7度目の打率3割もマークしていたから、セでも攻守走の3部門に期待がかかった。
阪神入りした当時は「次の塁を狙うことはチームにとっても大きい」と、足で貢献することを語っていた。しかし、その思惑どおりには進まなかった。
まずシーズン前から糸井のコンディションは万全ではなかった。自主トレーニングで右ヒザ炎症に見舞われて沖縄キャンプではリハビリの日々だった。
開幕には間に合ったが、初盗塁を決める4月14日の広島戦(甲子園)まで俊足ぶりは封印される。交流戦では3戦連続の二盗を決めたものの、そのペースで事は運ばなかった。
6月には左太もも痛が生じてスタメンから外れた。また、球宴明けには右ワキ腹筋挫傷で、8月中旬に復帰するまで時間がかかってしまった。
しかし、バットでは本人が「強いスイングを心掛けている」と言うようにシーズン終盤から調子を上げて、2年連続打率3割は視界に入っている。
糸井が盗塁王に輝いていれば阪神史上では
吉田義男、
赤星憲広らに続く栄誉だった。史上2人目の両リーグでの盗塁王は、来シーズンにお預けとなった。