
ルーキーイヤーから大活躍。球団の新人最多安打記録を更新した京田
その速さこそ、未来。ルーキーがダイヤモンドを駆け回るたび、竜が活気づいていく。リードオフマンを担う
京田陽太は、自らの役目を分かっている。「塁に出たら、誰よりも多くホームにかえってくること」。50メートル走5秒9の快足が持ち合わせるのは、失敗上等のどう猛さ。いつも、誰よりも、ユニフォームは汚れている。
8月17日の
DeNA戦(横浜)。8回一死から出塁した直後に、二盗を成功させたのが合図だった。一、二塁となり、二ゴロの間に三塁に進んだ直後、再び加速して一気に生還。併殺に入った遊撃手が体勢を崩したスキを見逃さなかった。「行けるかなと思って。ちょっと暴走気味でしたけど」。自らの安打と足で奪った得点だった。
数々の偉大な先輩たちを追い抜いてきた新人安打記録も、バットだけで生んではいない。打ち損じたボテボテの当たりでも、「H」ランプを何度ともしたことか。約4分の1が内野安打。球団の新人記録を更新した140安打目も、二塁手が捕球したころには一塁を駆け抜けていた。「僕らしい」。まぎれもなく、ヒットはヒットだ。
粗削りな分、伸びしろも大きい。盗塁ではスタートからの加速や、相手のクセを日々研究。
奈良原浩内野守備走塁コーチも「投手のタイミングを見ることができている」と目を細める。
中日の新人では、29年ぶりに20盗塁の大台も超えた。「状況を見ながら、どんどん走っていきたい」。文字どおり、スターダムを突っ走っている。
写真=BBM