
今季は終盤になってようやく才能の一端を示した佐々木
外れながら5球団が競合した逸材だ。桜美林大からドラフト1位で入団した
佐々木千隼に向けられた即戦力として期待は非常に大きなものだった。プロ1年目は15試合に登板して4勝7敗、防御率4.22で幕を閉じた。
首脳陣の「チームを背負う投手になってほしい」という期待もあり、開幕ローテーションを勝ち取った。プロ初登板初先発となった4月6日の
日本ハム戦(ZOZOマリン)、5回1失点でプロ初勝利と順調なスタートだった。
しかし、プロの世界は甘くない。2度目の先発となった同20日の
ソフトバンク戦(ZOZOマリン)でプロ初黒星を喫すると、そこから自身4連敗。
シュート回転するクセが抜けず、制球難で自滅する場面も増えた。
悩みの中で次第に表情は暗くなり「練習していくしかない」と高い壁を実感していた。7月に二軍落ちを経験すると、直後に背中痛にも見舞われた。それでも、シーズン終盤に来季への光を放った。
約2カ月半ぶりの一軍復帰登板となった9月13日の日本ハム戦(札幌ドーム)。9回一死から被弾してプロ初完封こそ逃したが、111日ぶりの白星を、自身初の完投で飾った。「ファームでやってきたことを出そうと思った」と、苦しんだ日々も間違いではなかったことを示した。
「悔しさが大きい。思うようにいかなかった」と振り返るルーキーイヤーとなったが、「この経験を来年、無駄にしないようにしないといけない。もっといい直球を投げたいと思っている」。視線は力強く先を見据えている。
写真=BBM