
故障に苦しんだが、何とか一軍初登板を果たした
昨秋のドラフト会議。
ヤクルトが1位指名したのは、履正社高・
寺島成輝。高校No.1左腕と呼ばれた男だった。競合を避け、一本釣りでの獲得。指名直後、当時の真中監督は「うちの一番取りたい投手を指名して、取れたので本当に良かった。高校生ですが、すぐに使えると聞いているし、度胸もすごいと聞いているので、即戦力で期待です」。してやったりの指揮官は満面の笑みを浮かべた。
18歳ながら、即戦力左腕として入団した寺島。期待どおり、春季キャンプは一軍スタート。球団の高卒新人では2009年の赤川以来8年ぶりのことだった。だが、すぐにアクシデントが襲った。2月11日、左太もも内側の張りを訴えてブルペン入りを回避すると、12日に左内転筋の筋膜炎と診断され、13日に二軍落ち。以降は体作りから再出発となった。開幕後には左ヒジ痛を発症。調整のペースは上がらなかった。
それでも、夏場には二軍で結果を出し始める。そして、9月30日の
中日戦(神宮)でプロ初登板初先発を果たした。結果は4回途中5安打5失点。初回二死一塁から福田に2ランを被弾するなど、お世辞にも鮮烈デビューとはならなかった。それでも、試合後には「できることもあれば、できないことも多かった。ただ、打者の感じも分かったので、そこは次に生かせると思います」と収穫を強調した。物怖じしない言動は、やはり大物ルーキーだ。2年目は、開幕ローテ入りの期待がかかる。来季こそ、その実力を証明する。
写真=椛本結城