
150キロを超えるストレートを武器に中継ぎで地位を築いたエスコバー
新天地でとにかく粉骨砕身。登板を重ねるたび、自信と信頼をつかんでいった。エスコバーが最も輝いたのは、10月23日のCSファイナルステージ・
広島戦(マツダ広島)だ。
6回無死満塁の大ピンチを
三上朋也が二死までこぎつけ、後を受けたマウンド。「準備はできていた。真っすぐで絶対に抑えようと思った」と初球から全力で左腕を振った。151キロに力負けした
田中広輔は二ゴロ。思い切りこぶしを握り、三塁ベンチの仲間に出迎えられた。
翌24日も、5番手で7回の1イニングを無失点。最後は新井を空振り三振に仕留めた。セ・リーグ史上初めてとなる3位からの日本シリーズ進出に貢献。強固なブルペンに欠かせない存在であることを証明した。
「優勝に向かって貢献したいと強く思った。先発でもリリーフでも。どんな役割でもチームを助けたい」。
DeNAのユニフォームに袖を通し、決意表明したのは7月だった。黒羽根と交換トレードで
日本ハムから加入。在籍1年目の外国人選手がトレードされるのは史上初だった。
高田繁GMは「左のリリーフがもう1枚欲しいと現場からも要望があった」と説明。期待どおりに活躍した。
先発は5回7失点だった8月6日の広島戦(横浜)の1試合だけ。救援に限れば26試合で防御率2.48と安定していた。ロングリリーフから地位を上げ、
山崎康晃、
パットン、三上らと勝ち試合を託される「エスキー」が19年ぶりの日本シリーズ進出の原動力となった。
写真=井田新輔