
テスト入団だったが、年間通して一軍の戦力となった
背番号66が、今季の
ヤクルトを引っ張っていた。昨季、
ロッテを戦力外となった
大松尚逸だ。2月の宮崎・西都キャンプでテスト入団し、開幕は一軍を勝ち取った。「あっという間という感じでした。毎日が必死で、何とかチームのためにと思って、気づいたらシーズンが終わっていました。僕自身も久しぶりに年間通して一軍にいられたので、いつも以上に収穫が多かったです」。
今季は主に代打として94試合で打率.162、3本塁打、16打点と、決して満足のいくシーズンではなかった。だが、オールスター期間中には真中前監督に相談し、「うまくいかないことが多いと思ってやれ。気持ち的に背負い過ぎず」と励まされ、気持ちが晴れた。
神宮でミラクルを2度起こした。5月9日の
広島戦、7月26日の
中日戦で代打サヨナラ弾を放った。2度目の殊勲弾は10点差を大逆転した試合での一発。それでも「いい場面で打てたというより、真中監督が我慢して使ってくれたおかげ」と謝意を表した。
神宮での試合後はベンチ裏の鏡を利用して、素振りをするのが日課。シーズン途中からは、西浦がともに行うなど、代打の切り札としてだけでなく、若手の手本としての期待もかかる。「チームとしてこういう結果になって、選手は悔しいし、不甲斐ない。この経験を選手一人ひとりが受け止めて、悔しさをグラウンドで返すという気持ちを持ってやらないと」。35歳のベテランが来季もヤクルトを支えていく。
写真=田中慎一郎